帝人株式会社は9月10日、欧州で炭素繊維事業を展開する帝人グループのテイジン・カーボン・ヨーロッパ社が、炭素繊維事業における持続可能性への取り組みをまとめた「サステナビリティレポート 2024」を発行したと発表した。本レポートは、炭素繊維事業として初のサステナビリティレポートだ。
帝人グループのパーパス「Pioneering solutions together for a healthy planet」に基づき、環境負荷の低減と循環型社会の実現に向けた取り組みを包括的に紹介している。気候変動や資源制約が深刻化する中、炭素繊維は軽量・高強度という特性から、航空宇宙、一般産業、スポーツなど多様な分野で環境負荷低減に貢献する素材として注目されている。帝人グループは、こうした社会的要請に応えるべく、炭素繊維事業におけるサステナビリティの取り組みを体系的に整理・発信することを目的に、今回のレポートを発行した。
レポートの主な内容は以下の通りだ。製品の環境貢献として、航空宇宙、一般産業、スポーツ用途など、炭素繊維が環境負荷低減に寄与する分野を紹介している。CO2削減のロードマップでは、炭素繊維事業における2030年までのCO2排出削減目標と施策を提示した。環境配慮型材料を原料に使用した炭素繊維製品ブランド「Tenax Next」も紹介されており、最大35%のCO2削減を実現するフィラメント糸「Tenax Next HTS45 E23 24K」や、デジタルプロダクトパスポートに対応した短繊維「Tenax Next R2S P513 6MM」が含まれる。
デジタルプロダクトパスポートとは、製品のトレーサビリティの追跡に必要な情報が記録されたデジタル証明のことだ。国際認証の取得状況として、ISO14001(環境マネジメントシステム)、ISO50001(エネルギーマネジメントシステム)、ISO45001(労働安全衛生マネジメントシステム)などの取得状況も報告されている。
帝人グループは、事業活動に伴う環境、社会への負の影響が最小限となるように努め、長期ビジョンである「未来の社会を支える会社」をより具体化した「地球の健康を優先し、環境を守り、循環型社会を支える会社」となることを目指している。
【プレスリリース】炭素繊維事業における初の「サステナビリティレポート」を発行[PDF]
【関連記事】佐川急便、ミズノ、帝人フロンティア、ユニフォームの完全循環型リサイクルへ。物流業界で先進的な繊維to繊維の協業を開始
【関連記事】JEPLANと日立造船、繊維製品の資源循環に向けた共同実証開始
【関連記事】菅公学生服とJEPLAN「制服循環エコスクールプロジェクト」始動。学校制服から循環型社会広げる
