英国に本拠を置くサーキュラーエコノミー推進機関のエレン・マッカーサー財団は3月6日、世界で初めて同団体が主導する「プラスチック協定」の地域版イニシアチブとなる「欧州プラスチック協定」がベルギーの首都ブリュッセルで発足したと公表した。欧州経済領域(EEA)が共通の目的であるプラスチック廃棄・汚染ゼロのサーキュラーエコノミーを確立するために協力する。

この協定は、フランスの環境連帯移行省(MTES)、オランダのインフラ・水管理省、デンマークの環境・食糧省が指揮をとり、ヨーロッパの80以上の団体と、イギリスのプラスチック協定を牽引するイギリスのWRAP(The Waste and Resources Action Programme)の協力のもとで進められる。目標達成のため参加母体と事務局は進捗を監視し、年次報告も行う。

また、プラスチックの削減・再利用モデルを議論し、循環型のプラスチック経済、廃棄物輸送、食材に直接触れる素材、サプライチェーンの今後の舵取りに向けたアクションを設計する。欧州プラスチック協定は2025年までに達成を目指す目標は次の通りだ。

  • すべての使い捨てプラスチック素材の包装や商品をリサイクル可能なものとし、可能な限り再利用できるようにする
  • バージンプラスチック利用率を少なくとも20%引き下げる
  • 包装・使い捨て製品に使われるすべてのプラスチックの回収、分別、リサイクルできるキャパシティを少なくとも25%増やす
  • 使い捨てプラスチック製品と包装におけるリサイクルプラスチックの使用量を可能な限り多く、少なくとも平均30%増やす

初めての地域プラスチック協定として、欧州プラスチック協定は下記に注力する。

  • 革新的な技術とアプローチの開発に協力する
  • ガイドライン、基準、国家の支援枠組みを共有・統一する
  • 実践方法や学びをヨーロッパ全体で共有する

ヨーロッパはエレン・マッカーサー財団財団率いるプラスチック協定に加盟することでサーキュラープラスチックエコノミー確立に向け大きな一歩を踏み出すこととなる。これまでイギリス、フランス、チリ、オランダ、南アフリカ、ポルトガルなど世界各地でプラスチック協定に参加を表明している国々に新たに名を連ね、プラスチック利用をサーキュラーエコノミーに移行するための知見や実践方法を国や地域を超えて共有する。

オランダ住宅国土計画環境省のStientje van Veldhoven氏は次のように語る。「わたしたちはすべてのプラスチックを再利用していかなければいけません。日常的に食べるチョコレートの包装から、シャンプーのボトル、それ以外のものもすべてです。決して簡単なことではないでしょう。化学工業はリサイクルしやすいプラスチック素材を開発することが求められています。リサイクルできる総量を増やし、新しい商品をデザインしなおさなければいけません」

プラスチック素材をゴミや汚染につなげず、資源として循環させ続けていくためには地域全体としての連携が必要不可欠だ。今後欧州プラスチック協定のフロントランナーとしての目標達成に向けた歩みに注視したい。

【参照記事】Europe becomes the first regional initiative to join the Foundation’s Plastics Pact network