東京工業大学は9月11日、東京工業大学物質理工学院の熊井真次特任教授、同学院材料系の村石信二教授らと株式会社UACJが取り組む、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)のアルミ素材高度資源循環システム構築事業の一環として、「縦型高速双ロール鋳造実験機」を開発したことを発表した。アルミの量産化を目指した鋳造技術としては、世界で初めての取り組みである(UACJ調べ)。
アルミニウムは、リサイクルすることでCO2排出量の大幅な削減が期待されている素材だが、現在の技術ではアルミ展伸材の不純物許容量が低く、アルミ缶など一部の用途でしか水平リサイクルが進んでいない。アルミニウムのリサイクル率を上げるため、東京工業大学、UACJ、NEDOの三者は、2021年度より「資源循環型社会構築に向けたアルミニウム資源のアップグレードリサイクル技術開発プロジェクト」に取り組んできた。
本鋳造実験機では、従来の横型鋳造技術に比べて、冷却速度と鋳造速度が数十倍に向上し、不純物の影響を最小限に抑えられるという。アルミ展伸材の製造にリサイクル材を多く使用できるようになることから、従来のカスケードリサイクル(低グレードの製品へのリサイクル)から、水平リサイクル、アップグレードリサイクルへの移行を促進すると期待されている。
今後三者は、アップグレードリサイクル技術の開発と量産技術の確立に取り組む方針。2030年以降にリサイクルアルミの量産設備を実現し、2050年には業界全体で年間1,800万トン規模のCO2排出量削減を目標とする。
不純物を含むアルミニウムでも高品質な製品を製造できるようになることで、アルミニウムのサーキュラーエコノミー実現を目指す。
【プレスリリース】アルミニウムのサーキュラーエコノミー実現に向け、アップグレードリサイクル量産技術の確立へ前進
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(※画像の出典:東京工業大学)