学校法人多摩美術大学(以下、多摩美術大学)はこのほど、2021年5月に株式会社モノファクトリー(以下、モノファクトリー)を含む企業5社と連携して立ち上げたプロジェクト「すてるデザイン」が始動したことを発表した。同プロジェクトはTama Art University Bureau(以下、TUB)を拠点とし、産業廃棄物に新しい価値や意味を与えることを目的としている。

デザインの持つ創造的な力は、サーキュラーエコノミーへの移行に貢献できると多摩美術大学はみている。廃棄物を重要な資源と考え、「つくる」ことで産業を支えてきたこれまでのデザインから「すてる」を考えて、社会や産業を支えていくデザインを目指すとしている。TUBは「まじわる・うみだす・ひらく」を概念とし、さまざまなステークホルダー・企業・社会人と展開するオープンイノベーションによって新しい価値を創出すること、およびデザインや芸術の力を提示していくことを目的としている。今回、オープンイノベーションの第一弾のテーマとして、デザインの力を通じて廃棄物の発生抑制や捨て方自体を根本から変えることを目指す社会課題解決型のプロジェクトを実施する。

同プロジェクトはモノファクトリーを中心に、伊藤忠リーテイルリンク株式会社・株式会社ナカダイ(以下、ナカダイ)・ブックオフコーポレーション株式会社・プラス株式会社・他1社と共に展開する。ナカダイは産業廃棄物処理に長く取り組みリサイクル率99%(ナカダイ調べ)を実現しており、ナカダイのコンサルティング部門として独立したのがモノファクトリーだ。

プロダクトデザイン専攻の学生の授業プログラムを中心に同プロジェクトは実施される予定で、学生参加プログラムとして今年度8つの課題プログラムが教育課程に組まれ、すでに着手していることを明らかにした。製品・情報デザイン・統合デザインなどの学科横断の有志による取り組みや有識者による講義、およびイベント開催などを予定している。デザインする機会として、以下の3段階で活動していく意向だ。

<段階1>すてたモノをデザインする:リサイクル&リユースされた材料によるデザイン
<段階2>すてる前提をデザインする:リサイクルを前提とした製品&サービスのデザイン
<段階3>すてるエコシステムをデザインする:回収する仕組みや循環全体のデザイン

同プロジェクトの体系は、以下である。

TUBディレクターの多摩美術大学統合デザイン学科の永井一史教授は、「すてるデザインに注目し生産と消費のあり方を変革することによって、大きな機会をもたらす可能性を感じています。今年4月に立ち上げたTUBのオープンイノベーションの第一弾として取り組むべき大きな課題として、学生はもとより関心ある社会人も巻き込んでいける大きな枠組みにしていきたいと考えています」と述べた。

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*記事中の画像の出典:多摩美術大学