和歌山県とENEOS株式会社、花王株式会社、サントリーホールディングス株式会社は1月10日、「和歌山県におけるサーキュラーエコノミーの実現に関する包括連携協定」を締結した。4者が県内の未利用資源・事業活動から生じる連産品の資源化をはじめ、産学官のネットワークを構築しサーキュラーエコノミーに関する施策や再生製品のブランディングを推進する。

同県は2023年10月、地域の特性を踏まえた産業創出や広域的な資源循環ネットワークの構築を目的に、「わかやま資源自律経済ビジョン」を策定。ENEOS、花王、サントリーの3社はこれまでに同県内の市町との資源循環に関する連携実績があり、同ビジョンの策定にも参画した。実現に向け、4者が連携し、それぞれの資源とネットワークの有効活用を図ることが有益との観点から、協定の締結に至った。

同協定は、主に以下の目的を掲げている。

  • 和歌山県が地域資源循環モデルの先進地域となる
  • 和歌山らしさを取り入れたサーキュラーエコノミー型産業の振興を図る
  • 資源循環を通じて自信と愛着を持って暮らせるまち和歌山を創出する

具体的な連携事項として、一般家庭から排出される使用済み、もしくは未使用だが廃棄されてしまう食用油からのSAF(持続可能な航空燃料)の製造や、製造時の連産品であるバイオナフサを利用した製品の製造や、ペットボトルの水平リサイクル、使用済みPETなどを利活用したアスファルト改質剤等の製造が挙げられる。

使用済み食用油の回収と資源化では、2024年度に回収実証を実施予定。また、使用済みプラスチックやCO2などその他の再生資源についても、県内企業のニーズを捉え、資源循環に取り組む企業の拡大とネットワーク構築に向けた取り組みに順次着手する予定だ。

また、産学官連携ネットワークを構築し、再生資源となる使用済み食用油やペットボトルを含む使用済みプラスチックの回収と資源化・利活用の仕組みの確立、排ガスを活用するカーボンリサイクル技術の開発や、和歌山産の再生製品としてのブランディングの推進を図る。

ENEOS社は、グリーントランスフォーメーション(GX)のモデル拠点として「未来環境供給基地」を目指す和歌山製造所で、SAF製造の事業化検討を進めている。同協定では、使用済み食用油回収スキーム構築に加え、サントリーグループと協業し、SAFの連産品であるバイオナフサを活用したバイオペットボトルの製造を検討する。

花王グループは、地域社会との連携を深め、廃棄プラスチックや排ガス中に含まれるCO2を資源として循環させることによって持続可能な社会の実現を目指す。

サントリーグループは全国で100を超える自治体と「ボトルtoボトル」水平リサイクルに関する協定締結を進めており、2023年9月には和歌山県串本町と協定を締結。ENEOS社とは、バイオマス資源の有効活用を目指し、使用済み食用油調達での協業も開始している。

【プレスリリース】和歌山県とENEOS株式会社、花王株式会社及びサントリーホールディングス株式会社が包括連携協定を締結
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※画像の出展:和歌山県