国際連合人間居住計画(ハビタット)はこのほど、都市廃棄物の管理実績を評価・改善するためのツール「Waste Wise Cities Tool」(以下、WaCT)を公表した。
同ツールは、特に低所得国において困難な都市廃棄物データの収集について、7ステップでその方法を示すものだ。SDGs(持続可能な開発目標)の指標11.6.1に基づいており、一次データの収集を通じて重要な情報とパラメータを作成する。適切なデータは、より効果の高い廃棄物・資源管理戦略と行動計画の立案を可能にさせ、投資を促し廃棄物管理における利害関係者を巻き込む第一歩となる。同ツールには、SDGsの他の目標との関連や、廃棄物フロー、プラスチックの環境漏出を定量化する機能もある。
国連ハビタットのMaimunah Mohd Sharif事務局長は、持続可能な廃棄物管理システムを開発する上で、WaCTの重要性を強調した。「このツールは、現在データが不足している都市廃棄物管理の仕組みの設計に携わる政策立案者、エンジニア、プランナー、コンサルタント、研究者、その他専門家など、幅広い利害関係者にとって価値あるものになるだろう」と語った。
環境省環境再生・資源循環局総務課循環型社会推進室室長補佐の重松賢行氏は次のように述べている。「廃棄物の健全な管理を促進するため、一次データの継続的な収集と進捗状況のモニタリングにWaCTが効果的に活用されることを心から期待している」と述べた。
ドイツ連邦環境・自然保護・原子力安全省の水管理・資源保全・気候変動適応局長のレジーナ・デュベ博士は、「廃棄物問題は必ずしも技術的な問題や政治的仕組みにあるとは限らず、プロセスに関する問題を抱えていることが多い。組織改善と運営・維持管理の効率化、モニタリング、説明責任に焦点を当てる必要がある。WaCTはこれらの改善に役立つものとなるだろう」と述べた。
国際固形廃棄物協会の市長・自治体イニシアチブのフィリップ・ヘイレン氏は次のように強調する。「家庭から排出される都市廃棄物量は、今後10年間で50%増加すると予想されている。都市を成功に導くために、持続可能な都市廃棄物管理システムに十分に投資されなければなりません」
ケニアのモンバサ市は、WaCTを適用している都市の一つだ。モンバサ郡の環境・廃棄物管理・エネルギー担当CECMゴドフリー・ナト博士は、WaCTを利用することで、モンバサ市は廃棄物発生と収集効率に関するより具体的で正確なデータを得ることができたと話す。データ収集は、同市の都市廃棄物管理改善のための政策立案の機会を提供したという。 同市の例は、WaCTによる信頼できるデータを収集することで、持続可能な廃棄物管理政策を立案する環境が整うことを示した格好だ。
【参照記事】UN-Habitat launches the Waste Wise Cities Tool (WaCT)
【参考】Waste Wise Cities Tool