サントリーホールディングス株式会社は10月10日、東京大学大学院工学系研究科と日本工営株式会社と連携し、世界の水不足リスクを把握するオンラインプラットフォーム「Water Security Compass」を共同開発したと発表した。水資源の需給を用途別に把握し、グローバルな水不足のリスクを可視化することを目的としたオンラインプラットフォームは、世界初の取り組みだという(東京大学社会連携講座「グローバル水循環社会連携講座」調べ)。2024年夏から無料で試用版が公開されており、正式版のリリースは2025年に予定されている。

「Water Security Compass」は、東京大学等が構築した地球全体の水循環をシミュレーションする高度なモデルを基にしている。このモデルは、季節変動やインフラによる水量の影響を考慮し、農業用水、工業用水、生活用水などの用途別に不足が予想される地域を特定。Cumulative Deficit to Demand(CDTD)やSectorial and Statistical Demand To Availability(SS-DTA)という指標を活用し、特定地域の水不足リスクを分析する。

Water Security Compassの画面例

水リスクは気候変動の影響を受け、今後深刻化する恐れがある。様々な企業や組織が水リスク対策や水資源保全の活動に取り組む中、「Water Security Compass」はそうした活動を支援し、より正確なデータに基づく意思決定を促すことを目指す。また、得られたデータを活かし、より広範囲なグローバル規模での活用や、国際的な水に関するルール形成にも寄与することが期待される。

この取り組みは、東京大学社会連携講座「グローバル水循環社会連携講座」を通じて実現した。三者が参画するこの講座は、産学連携の枠組みの中で水資源の研究開発や社会実装、人材育成に取り組んでいる。気候変動に対する持続可能な水資源管理の重要性を認識し、今後の水資源の安定供給に向けた戦略的なアプローチを提供する。

【プレスリリース】グローバル水リスク評価のためのオンラインプラットフォームWater Security Compassの公開開始
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(※画像の出典:サントリーホールディングス株式会社)