世界循環経済フォーラム2020(World Circular Economy Forum 2020)は5月5日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)まん延を理由として、2021年への延期が決定された。同フォーラムは2020年9月29日から10月1日にカナダのトロントで開催が予定されていたが、同年9月29日・30日にオンラインで実施されることも同時に決まった。新型コロナ収束後の経済再建にサーキュラーエコノミーが果たす役割について議論される。なお、2021年の日程は調整のうえ、追って公開される。
同フォーラムは、2017年よりSitra(フィンランド・イノベーション基金)が主催している。今回はカナダ環境・気候変動省と共催予定だったが、延期を余儀なくされた。Sitraのプレジデント Jyrki Katainen氏はオンラインで開催する理由をこう述べる。「当面の危機を乗り越えた後の景気後退期には、カーボンニュートラルかつサーキュラーエコノミーへの移行を加速させる断固とした取り組みが必要になります。これは、限られた資源をもっとうまく活用していくことにつながるでしょう。(2020年9月のオンラインでの開催は、)主なサーキュラーエコノミーの実践家が(今回の危機への)解決策を共有する機会になる見込みです」
同フォーラムの第1回は2017年6月にフィンランドのヘルシンキで、第2回は2018年10月に日本政府環境省との共催により横浜で、第3回は2019年6月に再度ヘルシンキで開催。第3回は98カ国2200名以上が参加。世界中から知見と事例を持ち寄り、ネットワーキングをするプラットフォームとして成長している。
今回のオンライン開催での決定により、より幅広い事例や最新情報が結集することに期待が高まる。この1ヶ月で欧米を中心に、サステナビリティへの取り組みが経済再建の中心となるように要求するイニシアチブ「グリーンリカバリー」や「Build Back Better(再建はより良いものに)」の動きが活発になっている。同フォーラムは、新型コロナウイルス感染症のまん延によって、サーキュラーエコノミーの動きを止めることなく、むしろ加速させていくことを確認する。そんな場になるはずだ。
カナダ環境・気候変動省のJonathan Wilkinson大臣は、「COVID-19によって延期せざるを得なくなったことは残念ですが、サーキュラーエコノミーを前進させる取り組みは継続させなければなりません。向こう数ヶ月、その議論を加速させるために、オンラインで関係者をつなげる機会を提供する予定です。カナダが再び2021年に開催国として皆さんをお迎えできることを心より楽しみにしています」と述べた。アメリカ大陸初の開催となる同フォーラム。これまでと同様、世界のサーキュラーエコノミーへの取り組みが共有されると同時に、世界経済を持続可能な形で回復させる道のりを示すことにもなるだろう。
また、Sitraはサーキュラーエコノミーに取り組む企業事例を調査しており、その結果を2020年9月のオンライン開催の場で公開する予定だ。Sitraはフィンランドが世界初のサーキュラーエコノミーロードマップを策定した国であるとし、その過程で他国とともに得た知見などを結集させて「Circular economy concept book」として刊行する方針だ。これからロードマップを定める国への参考となるだろう。すでに2019年にはサーキュラーエコノミーに転換するための製造業向け支援ツールを公開している。なお、Sitraについてのインタビューはこちらの記事をご参照いただきたい。
【参照記事】WCEF2020 conference in Toronto postponed to 2021
【参考記事】Wanted: circular economy solutions that change the world
【参考記事】Finnish road map to a circular economy 2016-2025
【参考記事】Circular economy business models for the manufacturing industry
【関連記事】官民連携のお手本。Sitraが進めるフィンランド流サーキュラーエコノミー