Circular Economy Hubでは2021年4月27日より、サーキュラーエコノミーが各業界や領域に広がる未来像を学べるオンライン学習プログラム「Circular X(サーキュラーエックス)」シリーズを毎月開催しています。
第1回は「サーキュラーエコノミーの本質を問う」をテーマとして、Circular Economy Hub 編集長の那須清和とオランダ在住編集部員西崎こずえよりお届けしました。国内外の最新の議論を踏まえながら、移行を本格的に進めていくに当たって理解しておきたい内容を徹底的に掘り下げた第1回の内容をレポートします。
2020年に脱炭素の動きが加速したことから、日本ではサーキュラーエコノミー(循環経済)への注目度が急速に高まりました。一方、サーキュラーエコノミーを政策の中心に据えて取り組んできた欧州では、サーキュラーエコノミーへの移行に伴う課題がすでに様々な形で指摘されています。
私たちはどのようなサーキュラーエコノミーを目指すのか
プログラムで扱ったトピックをダイジェストで見ていきましょう。
サーキュラーエコノミーの歴史と系譜
現在でもこのサーキュラーエコノミーという言葉自体には多くの定義があり、解釈にも幅があります。数多くある概念を全体の歴史を見渡して理解していくと、そもそもどのようなサーキュラーエコノミーを目指すのかという本質に迫ることができるのです。
エレン・マッカーサー財団の「バタフライ・ダイアグラム」のさらなる理解
よく見知った「バタフライ・ダイアグラム」ですが、4つの重要な点を改めて紹介。
- 小さい円を優先する
- 円の中でいかに利用される時間を長くするか
- カスケード利用
- 分離されやすく設計する
理論から実践への道筋を描くには、改めて原則とその使い方の理解を深めることが重要です。
経済・環境・社会の包括的なアプローチ
次に、ユトレヒト大学のMartin Calisto Friant氏らによる論文”A typology of circular economy discourses: Navigating the diverse visions of a contested paradigm”を取り上げました。Friant氏らは「技術革新で環境崩壊を防ぐことに対して懐疑的か楽観的かという軸」「社会・経済・環境に対してのアプローチの仕方が包括的か断片的かという軸」で区切った4象限を提唱した上で、経済のみならず環境と社会面にも包括的に取り組まなければならないと示唆しています。この4象限をめぐるディスカッションを通じて、私たちが目指すサーキュラーエコノミーの解像度を上げました。
サーキュラーエコノミーの今後の課題
今後のサーキュラーエコノミーをめぐる課題について、下記の5つをピックアップ。
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- サーキュラーエコノミーと脱炭素の関係性の模索
- サーキュラリティをどう測るのか
- サーキュラーエコノミーにおける非西洋的視点
- サーキュラーエコノミーの社会的側面
- 私たちはサーキュラーエコノミーを通じてどんな未来を目指すのか
サーキュラーエコノミーについて「どのように」達成するのか、という話題が多い中、「なぜ」「どのような」サーキュラーエコノミーを目指すのかという問いは、私たちが自らに、そして互いに今後問い続けていかなければならないものです。
Circular Economy Hub編集部による「Circular X(サーキュラーエックス)」シリーズでは毎月様々な分野の実践者をお招きして各トピックの理解を深めていきます。
アーカイブ動画は下記より購入・視聴することができます。
【参照記事】【アーカイブ動画購入可能】 Circular X 第1回「サーキュラーエコノミーの本質を問う」Circular Economy Hub オンライン学習プログラム
【参照論文】”A typology of circular economy discourses: Navigating the diverse visions of a contested paradigm,”(2020), Martin Calisto Friant, Walter J.V. Vermeulen, Roberta Salomone