経済産業省と環境省は6月9日、自動車リサイクル制度の見直しに向けた報告書案を公表した。自動車リサイクル法施行から20年以上が経過した制度の成果や課題を整理するとともに、EVの普及や資源循環の強化を見据えた今後の方向性を示している。
報告書によると、自動車リサイクル制度は全体として安定的に機能しており、自動車破砕残さ(ASR)の再資源化率は令和6年度時点で約97%に達した。ASRの最終処分量も制度施行前と比べて約1割まで減少している。
一方で、使用済自動車の発生台数は減少傾向にあり、令和6年度は約256万台となった。中古車や解体後の車体の輸出増加に加え、電動車の普及など、自動車リサイクルを取り巻く環境は大きく変化している。
こうした状況を踏まえ、報告書は今後の重点課題として、中古車や解体後の車体の輸出増加への対応、使用済車載用蓄電池の回収・再資源化の推進、不適正な解体業者対策などを挙げた。
また、リユース部品の流通促進や再生プラスチックなど再生材の利用拡大、ASRリサイクルの高度化などを通じて、国内資源循環の強化を図る考えを示した。
報告書では、令和8年4月に開始した「資源回収インセンティブ制度」にも言及。同制度は、解体・破砕工程で樹脂やガラスなどを回収し、ASR発生量を削減した事業者に経済的インセンティブを付与する仕組みで、国内資源循環とカーボンニュートラルの推進を目指す。令和8年5月末時点で全国560事業者が制度の特設サイトに登録している。
さらに電動車の普及に伴い、使用済みリチウムイオン電池の回収・再資源化が重要課題として浮上している。
現在は、自動車業界が構築した共同回収スキームにより、解体業者が取り外した使用済LiBを自動車再資源化協力機構が窓口となって無償回収しており、令和6年度には1万3,232個を回収した。
一方で、今後はEVの普及拡大により排出量の急増が見込まれており、環境省推計では2030年度に約13万個、2040年度には約40万個に達する可能性がある。
報告書は、現行の自主的な回収スキームにおける費用負担の持続可能性、発火・発煙など安全管理上のリスク、リン酸鉄系電池の普及に伴う資源価値の低下といった課題を指摘している。
これらを踏まえ、リユース・リサイクルを含めた適正かつ持続可能な処理体制の構築が不可欠だとし、令和8年度中に関係者による作業部会を設置して対応方針や実施時期を検討する方針を示した。
報告書は、自動車リサイクル制度について「安定化・効率化」「国内資源循環の推進」「発展的・横断的課題への対応」を今後の基本方針として掲げており、制度のさらなる高度化を図る考えを示している。
【参照サイト】産業構造審議会イノベーション・環境分科会資源循環経済小委員会自動車リサイクルWG中央環境審議会循環型社会部会自動車リサイクル専門委員会第66回合同会議
【参照サイト】自動車リサイクル制度の施行状況の評価・検討に関する報告書(案)
【参照サイト】使用済自動車に係る資源回収インセンティブ制度
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