粘着材料・ラベル製品メーカーの米エイブリィ・デニソンはこのほど、コンサルティング企業である英The Future Laboratoryと共同で、レポート「Regenerative Retail Economy(リジェネラティブな小売経済)」を公開した。

同レポートは、国連気候変動枠組条約が、業界全体の収益の20%に該当する小売業者に対し2023年までのネットゼロ、2050年までの業界全体におけるネットゼロ実現を課したことに合わせて発表された。

消費者はサステナビリティと利便性の両方を求めていると同レポートはみている。そこで、アパレル・化粧品・食品・飲料の各ステークホルダーが現在の事業モデルを再考し、循環型システムを導入してサステナビリティを最優先事項に掲げられるよう、主要な傾向と助言を提示した。小売業の将来に関する以下の3つの予測を示し、これらは各国政府のネットゼロへの移行と、事業・市民社会にも影響を及ぼすとしている。

  • pro-planet(地球に配慮した)容器包装の重要性を探求する
  • 環境への影響を公開する
  • 協働の徹底

専門家へのインタビューと消費者の洞察に基づき、今後10年間の変革推進に必要な傾向と姿勢を紹介する同レポ―トは下記を提言している。

  • 小売・消費財の事業を根本的に変える画期的なテクノロジーとeコマースおよびオムニチャネルへのアプローチが重要である
  • すでに小売業者はリジェネラティブなシステムへの移行に取り組んでいるため、リジェネラティブな小売経済の構築に向けた技術投資が不可欠である
  • 77%のビジネスリーダーが持続可能性の目標達成のために環境評価とIoTが重要であると回答し、5分の1以上がDX計画を3年分加速させたと主張した

エイブリィ・デニソンのラベル・容器包装事業部門で紙とフィルムの販売担当責任者であるRob Groen in ‘T Wout 氏は、「素材とデジタルソリューションの組み合わせは、リジェネラティブな小売経済の構築に重要な役割を果たします。使用するよりも早く材料を回収・リサイクルし、eコマースの成長に伴って包装・出荷・返品におけるよりグリーンなラストワンマイル・ソリューションの構築が必要です。サプライチェーンをデジタル化し、非効率性と無駄をよく理解することで、小売業者は循環型事業モデルを実現できます」と述べた。同レポートは無料で、こちらからダウンロードできる。

短期的な利益より長期的な価値創造を優先すること・イノベーション促進・包装材や製品使用後の処理方法の情報や支援の提供・環境配慮型の包装材・環境負荷の開示を提案するなど、同レポートは包括的な内容となっている。リジェネラティブな小売への移行支援を目指す同レポートが、業界に好影響を与えていくことが期待される。

【プレスリリース】小売業界がサステナビリティーを超えて「リジェネラティブな小売」の実現を目指すべき理由 エイブリィ・デニソンが提言レポートを公開
【参照サイト】リジェネレーション時代の小売業
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*冒頭の画像の出典:エイブリィ・デニソン