粘着材料・ラベル製品メーカーの米エイブリィ・デニソンはこのほど、コンサルティング企業である英The Future Laboratoryと共同で、レポート「Zero Waste Futures Report(廃棄物ゼロの未来)」を公開した。

現在、世界では年間20億トンの廃棄物が発生しており、2050年にその量は34億トンになると世界銀行は予測している。同レポートは、ブランドと小売業者の行動につながる戦略的枠組みを提供し、廃棄物ゼロの未来と循環型経済を実現するソリューションを加速させる主要な推進要因を概説する。専門家は、ベストプラクティス・事例・バイオミミクリー素材・ライフサイクルの可視性・循環型エコシステムに関する3つの未来シナリオを同レポートのなかで詳述した。加えて、廃棄物ゼロへの移行を推進するための以下の6つの領域についても詳細に説明している。

  • ごみがでないようにデザインされた製品。製品寿命とリサイクル性が初期の設計工程に組み込まれたエコデザイン
  • 原材料の貴重な資源として、廃棄物を再構築する
  • リサイクルを中心とした消費者教育に重点を置く
  • 不要な廃棄物の発生を回避または制限するための新たな法律の制定
  • システミックな変化を推進する業界と分野をまたぐ協働
  • エンドツーエンドのサプライチェーンにおける可視性を実現する技術の採用

エイブリィ・デニソンは、材料とデジタルソリューションの組み合わせが廃棄物問題の解決に重要な役割を果たすと考える。在庫管理の不十分さと過剰生産によって引き起こされる「目に見えない廃棄物」は、廃棄物問題の中でも大きな割合を占めており、デジタルソリューションは目に見えない廃棄物の可視化と効率的な在庫管理を実現し、企業は不要な廃棄物を排除できるようになるとしている。

同レポートは、エイブリィ・デニソンが発表した次世代のデジタルプラットフォーム「atma.io™」に続いて公開された。同プラットフォームを活用して、世界中のすべての物理的なアイテムに固有のデジタル特性を作成・割り当て・管理することで、循環性を実現できるとしている。同レポートは無料で、こちらからダウンロードできる。

廃棄物ゼロ実現には、設計段階での配慮・廃棄物の活用・教育・法律制定・協働・トレーサビリティ確保のためのデジタルソリューションなど、同レポートが指摘しているように多くの分野における行動推進が必要となるだろう。より多くの組織と人々がこうした多角的な視点を学び、廃棄物ゼロ実現に向けて実践していくことが期待される。

【プレスリリース】レポート:The Future Laboratoryと提携し、 廃棄物ゼロの未来を実現するグローバルなアクションプランを提案
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*冒頭の画像の出典:エイブリィ・デニソン