英国に本拠を置くリサイクルバッテリーのスタートアップであるアセレロン社は3月26日、全地形対応車(ATV)メーカーのエコチャージャー社との提携を発表した。
アセレロン社はエコチャージャー社に対して、修理・アップグレード・再利用・リサイクルが可能なリチウムイオンバッテリーを供給する。アセレロン社によると、バッテリーは従来の鉛充電池と同サイズだが、容量が4倍で重量が半分になるという。
さらに、遠隔でバッテリーのパフォーマンスを高めるソフトウェアを搭載。劣化度合いやアップグレード・修理のタイミングが把握できるようになる。これにより、通常3年のバッテリー寿命を最大8倍にまで延ばすことが実現する。さらに、両社は使用済みバッテリーの買い戻しスキームを構築。エコチャージャーのバッテリーの90%以上は再利用されることになる。
両社の提携は、今後の電気自動車(EV)の急増に伴うリチウムイオンバッテリーの廃棄問題に対応するものだ。国際エネルギー機関(IEA)は、2030年に年間EV販売台数が4400万台に達すると試算。これを受け、アセレロン社は今後20年間で年間1100万トンの廃バッテリーの発生を予想している。
アセレロン社の共同創業者でありCEOであるAmrit Chandan博士は、「輸送部門における脱炭素化は極めて重要である。しかし一方で、脱炭素化に伴い登場したEVバッテリー廃棄問題という忘れられやすい問題を我々は解決するつもりだ」と、脱炭素化とバッテリー廃棄問題の両方の解決を訴えた。
3月11日に欧州委員会からサーキュラーエコノミーに移行するための計画である「循環型経済行動計画」が公表され、その産業別重点項目の中にバッテリーが挙げられている。2006年に既に法制化されている電池指令を評価した後、新たな規制の枠組みを2020年中に公表する予定だ。
脱炭素化に伴うバッテリー廃棄問題への取り組みが急務となり、EU内または域外で対応に迫られることが予想される。大手自動車メーカーやバッテリーメーカーを中心にリサイクルバッテリーの取り組みが既に急ピッチで進められているが、アセレロン社のようなスタートアップの動向にも着目したい。
【参照記事】エコチャージャー社公式ページ OUR PARTNERSHIP WITH ACELERON TO TACKLE EV-WASTE
【参照記事】Designing batteries for circular economy will prevent “mountains” of battery waste
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