国立研究開発法人 産業技術総合研究所(以下、産総研)材料・化学領域は、機能材料や主要元素資源の循環システム実現に求められる要素技術の必要スペック達成に向けたロードマップを2021年度に策定し、このほど冊子体にまとめ希望者への配布を開始した。
同ロードマップの目的は、資源循環型社会の構築に向けた開発目標の策定に貢献することだ。素材・製造産業分野において、日本がサーキュラーエコノミーを牽引する原動力にしたいとしている。
2020年4月、産総研は材料・化学、エネルギー・環境、エレクトロニクス・製造、生命工学、計測標準、地質調査の6領域を融合して資源循環利用技術研究ラボを設立し、資源の高度利用技術とシステム評価技術開発のための研究活動を開始した。
資源循環スペックロードマップの概要(出典:国立研究開発法人 産業技術総合研究所)
同ラボは、マテリアルリサイクル技術、ケミカルリサイクル技術、炭素・窒素・リン資源の循環技術、市場創出・事業モデル構築に向けた「ライフサイクルアセスメント(LCA)、循環システム評価技術」の開発に取り組んでいる。加えて、最先端の技術動向の把握や革新的技術シーズの探索などを通じて、資源循環技術の社会状況・政策・規制などの変化への対応を調査した。これらの取り組みを通して得られた考察と、今後の社会課題の解決に向けた各テーマの要件を整理するべく、資源循環スペックロードマップを策定した。スペックロードマップでは、2022年の状況から2025年、2030年、2050年に向けて到達すべき開発目標値を示した。
図1資源循環型社会の実現に向けた社会課題と課題解決に向けた対応策
(赤字は資源循環利用技術ラボで実際に取り組む課題。出典:国立研究開発法人 産業技術総合研究所)
産総研は今後、さまざまなプロジェクトの開発目標の設定などに同ロードマップを活用し、資源循環技術の進展や社会状況・政策・規制をはじめとする変化に沿って継続的に改訂していく予定だ。同ロードマップの冊子体の配布申込は、こちらから。
各組織の技術開発目標設定を支援するべく策定された同ロードマップが、日本のサーキュラーエコノミー移行と資源循環型社会の構築に貢献していくことが期待される。
【参照サイト】循環型社会実現に向けた技術のスペックロードマップを策定
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