蘭Circle Economyは1月24日、英デロイトと共同作成した報告書「Circularity Gap Report 2024」を公表。それによると、世界のサーキュラリティは前年並みの7.2%だった。過去5年間でサーキュラーエコノミーに関わる議論や記事の数は約3倍に増えた一方で、サーキュラリティ自体は調査を開始した2018年の9.1%から低下したままだとしている。さらに、同期間の世界の消費量は500ギガトンに達し、これは1900年以降の消費量の28%を占めるとして、消費の増大動向に警鐘を鳴らしている。
サーキュラーエコノミーへの移行に必要な4つの方向性
同報告書は、人間開発指数(HDI)が上昇するにつれて物質消費量が増加し、環境負荷を高めている従来型の経済システムから、人々の利益を最大化し、環境負荷に対する圧力を最小化する新しい経済モデル、すなわちサーキュラーエコノミーが求められていると指摘。サーキュラーエコノミー型経済システムへの移行には政府・金融セクター・市民による行動が不可欠だとして、以下4つの方向性を示した。
1. 人々のウェルビーイング向上を何よりも優先させる
経済・金融・環境担当省庁やビジネスリーダー、多国間組織、国際金融機関 (IMFや開発銀行など) は、地球環境にとって安全な範囲内で人々のウェルビーイングを向上させることを最優先させるよう政策目標を転換させる必要がある。
2.すべての国に持続可能な投資を
経済・金融・貿易省多国間組織と国際金融機関は、国際的な金融・貿易の構造改革を通じて、すべての国が持続可能な開発に投資できるようにすべきである。
3.経済学を正しく理解する
経済省、財務省、教育機関、多国間組織、国際金融機関は、経済学を正しく理解することで、財政措置と新たな再分配メカニズムを展開して制度を再設計することによって、サーキュラーエコノミーを推進する主体が資金調達を行えるようにすべきである。
4.公正な移行に向けた国際的な協力体制の構築
経済・労働・教育関連省庁や教育機関、多国間組織、労働機関、ビジネス・リーダーは、環境目標を社会的・経済的目標と整合させながら、サーキュラーエコノミーへの公正な移行に向けたグローバルな協力関係を構築できる。
同報告書は今回、世界の排出量と廃棄物の大部分を占める「食料システム」「建設業界」「製品と消耗品」「モビリティと輸送」という4つの分野の循環型移行に向けて企業・都市・国家が取り組むべきとしている16のソリューションのうち、12に焦点を当てた。その上で、サーキュラーエコノミーへの移行ステージ別3つの類型にあたる各国・地域に対して、以下のような形で適切なアプローチを取るべきであると主張している。
●開発途上国・地域(BUILD)
この地域の国々を優先して、サーキュラーエコノミー型経済システムによる成長を促す。
●新興成長国・地域(GROW)
サーキュラーエコノミー型経済システムによる産業化を進める。
●成熟国・地域(SHIFT)
消費のあり方をサーキュラーエコノミー型経済システムに合ったものに変える。
このように、最終的には国によって優先順位が異なるアプローチを取ることによって、グローバルな循環型経済を拡大し、地球環境にとって安全な範囲内で人々のウェルビーイングを向上させることができると結論づけている。
本報告書については、掲げられた4つの方向性に基づいて、3つの移行ステージ別各国・地域に必要とされる取り組みが提示されており、後日改めて詳報する。
【参照レポート】Circularity Gap Report 2024
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*冒頭の画像の出典:Circle Economy