iFixitは、2024年9月にAppleが発表したiPhone 16シリーズを同社が分解したところ、修理のしやすさを示すリペアビリティスコアで10点満点中7点(暫定)と高い評価であることを発表した。

iPhone 16の通常モデル及びPlusモデルのバッテリーには、電流を流すことではがしやすくなる接着剤が新たに採用されるなど、修理の容易さを大きく向上させたと評価。Proモデルには新しい接着剤は採用されていないが、アルミニウムで包まれたバッテリーを採用しており、修理作業中にドライバーが滑ってバッテリーを破損、変形させてしまう恐れが低減されたという。

またiOS 18では、デバイス上に「リペアアシスタント」機能があり、中古の純正部品とのペアリングを可能にし、修理をサポートする。

iFixitは、スマートフォンなどの機器を修理するために必要な交換部品や精密工具、修理ガイドを無料で公開しているアメリカのスタートアップ企業。同社は、修理可能(リペアビリティ)であることの要件として、「分解・組み立てが容易で、非破壊・可逆性がある」、「一般的な修理には、安価で広く入手可能なツールのみ必要である」、「デバイス内の最重要な部品や、修理頻度の高い部品に優先的にアクセスできる」の3点を挙げている。

リペアビリティは10点満点の評価であり、「サービスマニュアルの完全性」、「交換部品の有無」、「修理可能なデザインであること」の3点が考慮されている。特に、「修理可能なデザイン」の観点では、製品を分解した際の「分解ツリー」に着目。デバイスのバックカバーを外せばすぐにバッテリーやディスプレイ交換ができるなど、主要部品に独立してアクセスできるフラットな分解ツリーが理想的だとしている。

iFixitが示す「フラット」な分解ツリー

同社は、iPhone 16シリーズでは、分解ツリーを浅くするための大きな進歩が見られると評価。デバイスの前面と背面の両方から開けることができ、修理しやすさに貢献。特に、Proモデル及びPro Maxモデルは、バッテリー、カメラ、スピーカーなどの主要な部品に背面ガラスを外してアクセスできる設計が施されている。

しかし、全てのモデルが同様の変化を遂げているわけではない。例えば、Pro Maxモデルでは、電流を流してはがす接着剤やアルミニウムで包まれたバッテリーは採用されていない。

また、接着剤による内部アクセスの難しさや複雑なネジ構造が依然として課題として残っている。これらの要素は、多くの修理ツールを持っていないユーザーにとって修理のハードルが上がるほか、サードパーティ製部品の利用を難しくし、修理の効率性を低下させる要因となる。

修理のしやすさは製品ライフサイクルの延長に寄与し、廃棄物削減や資源保護の促進につながることが期待される。今後、Appleがどのように修理性向上を推進していくか、注目される。

【プレスリリース】かつてないほどモジュール化されたiPhone 16 ProとPro Maxの分解
【参照記事】私たちはiPhone 16をホットワイヤーしました。
【参照記事】iFixitがリペアビリティ(修理しやすさ) を評価する方法
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(※画像の出典:iFixit)