総合容器メーカーの大和製罐株式会社は、株式会社digglueと共同で、化粧品用押出チューブの水平リサイクルに向けた実証実験を実施したと発表した。この取り組みは、製造工程で発生するプラスチック廃材を再び同じチューブの原料として利用するもので、従来の製造工程と比較してCO2排出量を約33%削減できる可能性が示された。

今回の実証実験は、2023年6月から2024年5月にかけて、リサイクル事業を展開するヴェオリア・ジャパングループの協力のもとで行われた。

具体的には、押出チューブの製造工程で排出された廃プラスチックを粉砕し、再生ペレット化。その再生材を配合した押出チューブを試作し、品質を評価した（PHASE1）。SVPジャパンによる2025年4月の調査では、食品用途を除いた商用の押出チューブにおける水平リサイクルの実証実験は世界初だとしている。

実験の結果、再生材を配合したチューブは、容器製造に求められる成形性を維持しつつ、化粧品・日用品容器としての品質基準を満たすことが確認された。また、CO2排出量については、自社の製造工程、材料調達、輸送、廃棄、リサイクル処理までを対象範囲として試算した結果、約33%の削減効果が明らかになった。

大和製罐は今回の結果を踏まえ、まず工場内で発生する廃プラスチックを活用した押出チューブの水平リサイクルの製品化を推進する。将来的には、化粧品などの充填工場で発生するロス品や、消費者が使用した後の容器も回収し、水平リサイクルの原料として活用する構想（PHASE2）も描いており、プラスチック容器の資源循環モデル構築を加速させる計画だ。

資源循環のイメージ（プレスリリースより）

本取り組みでは、digglue社が提供する循環型デジタルプラットフォーム「MateRe（マテリ）」を活用し、トレーサビリティデータや温室効果ガス（GHG）排出量の可視化も行う。これにより、ステークホルダーへの透明性の高い情報提供を目指す。この活動は、官民連携パートナーシップ「循環経済パートナーシップ（J4CE）」にも取組み事例として掲載されている。

【プレスリリース】世界初、押出チューブの水平リサイクル実証実験を実施　化粧品・日用品容器のプラスチック廃材を水平利用