王子ホールディングス株式会社は8月5日、花王株式会社、ソフトバンク株式会社、国際紙パルプ商事株式会社と新たに連携し、東京23区全域を対象とした使用済み紙コップのリサイクルプラットフォームを構築したと発表した。これまで大半が焼却処分されてきた使用済み紙コップを分別回収し、再び資源として活用するマテリアルリサイクルを推進する。

飲料の漏れを防ぐために内側にプラスチックがラミネート加工されている紙コップは、古紙としてリサイクルする際に品質の低下や設備の故障を引き起こすため混入してはならない異物である「禁忌品」に分類される。このため、その多くがリサイクルされずに焼却処分されているのが現状だ。この課題に対し、同プラットフォームは、王子グループが持つ再生技術を活用し、回収から再生までを一貫して担うことで、持続可能なリサイクルループの構築を目指す。

具体的には、連携企業がオフィスなどで排出した使用済み紙コップを分別回収し、王子グループがそれを処理。取り出された紙繊維(パルプ)は、同社グループが製造する「nepiaハンドタオル」やボックスティシュの箱、紙コップのスリーブ、段ボールなどの再生製品に生まれ変わる。王子グループは2022年から外食産業やホテル、建設業界など多様なパートナーと紙コップのリサイクルの実証を進めてきた。

今回新たに連携する花王のすみだ事業場、ソフトバンクの竹芝本社ビル、国際紙パルプ商事の本社の3拠点からは、年間約1.6トンの紙コップが回収される見込みだ。王子ホールディングスは今後も本プラットフォームへの参画企業・団体を広く募り、都市部におけるリサイクルモデルの拡充を目指す。拠点数と対象エリアの拡大を進め、2030年までに年間300トンの回収を目標に掲げている。

【プレスリリース】東京23区全域で使用済み紙コップのリサイクルプラットフォームを構築
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