EU電池規則により、2027年2月18日から義務化されるバッテリーパスポート。バッテリーパスポートが必要となるのは、EU市場で取引される軽輸送手段用電池・EV用電池、2kWhを超える産業用電池だ。

義務化まで残すところ2年あまりとなったバッテリーパスポートだが、欧州では現在官民が一体となったコンソーシアムを形成し、バッテリーパスポートの開発が着々と進んでいる。

バッテリーパスポートは、EU規制下のデジタルプロダクトパスポート(DPP)として初のユースケースとなる。そのため、後続する他製品群のDPPに対するモデルケースとなる可能性が高く、他のデジタルプラットフォームとの相互運用性を義務付けていることから、開発情報の共有が重要な鍵となっている。

DPP規格の開発

バッテリーパスポートの義務化にあたり、影響を受けるステークホルダーの懸念の一つは、パスポートの定義をはじめとする規制面や技術面における調和である。欧州では、EU規制によるバッテリーパスポートの義務化が検討され始めたことを受け、ブロックチェーン技術を手掛けるスタートアップ企業などがデジタルパスポートの開発に乗り出した。その一方で、関連業界では独自の技術やフォーマットによる開発が先行し、その結果調整が難航することが懸念されていた。

そうしたなか、EUは持続可能な製品のためのエコデザイン規則(ESPR)のなかで、EU市場で取引されるほとんどの製品に対しDPPを義務付けることを決定したため、DPP標準化の必要性は大きく高まった。そこで欧州委員会は、DPPシステムを設置・運用・維持するために必要な規格の開発を決定し、2023年5月に欧州の規格開発組織であるCEN(欧州標準化委員会)/CENELEC(欧州電気標準化委員会)などへ要請した。これを受けて、2023年12月にCEN-CENELECにおける合同技術委員会(JTC24)が設立されている。JTC24における開発プロジェクトでは、以下のような項目に基づき、DPPの標準化が行われることになっている。なお、本プロジェクトは、2027年2月のバッテリーパスポート適用を鑑み、現在非常に厳しいスケジュールで作業が進行中だ。DPPに関する技術標準化は2025年12月を目指す。

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