昨今、サーキュラーエコノミーをめぐる議論では、温室効果ガス排出と資源利用への深い関連性に焦点が当てられている。サーキュラーエコノミー推進機関である蘭Circle Economyによる調査レポート Circularity Gap Report 2021では、温室効果ガスの70%は資源採掘やその加工処理過程、および出荷時に発生しており、サーキュラーエコノミーが世界各国のあらゆる部門に浸透すれば、39%まで温室効果ガスを削減できると報告している。この調査結果は、資源管理への着目の必要性を強く示唆するもので、サーキュラーエコノミーが温室効果ガス排出削減にどう貢献するかを関連づけた。

この問題をスタート地点として、調査分析を行ったレポート「Climate Change Mitigation Through The Circular Economy(サーキュラーエコノミーによる気候変動の緩和)」が2020年3月に発行された。同レポートは、Circle EconomyとShifting Paradigm が地球環境ファシリティ(Global Environmental Facility、以下GEF、開発途上国が環境問題に取り組むための活動を支援する国際的資金メカニズム)に助言を行う科学技術諮問委員会(Scientific and Technical Advisory Panel、以下STAP)に向けに作成したものだ。サーキュラーエコノミーが中・低所得国において、温室効果ガス削減に貢献できるかに焦点を当て、戦略・プロジェクト・政策についての報告を行っている。

欧州やG7において、サーキュラーエコノミーにおける炭素排出削減への大きな潜在性については既に議論が始まっている。一方で、その他の国々ではそれほど探求されていない。そのため、同レポートでは特にGEFによるプロジェクトで活用される施策を提示する。GEF対象国である中所得および低所得国における実践結果は、幅広く適用できる可能性を秘めている。

サーキュラーエコノミー、12の取り組み分野

調査は、机上調査や専門家とのヒアリングや諮問会、およびSTAP とGEFへの諮問会によって行われ、GEF対象国に適切であると思われる循環型の取り組みについて項目を紹介し、さらにその中で小項目を設定、利点やデメリットなどを含めさまざまな角度から分析する。以下は、主な取り組み分野として挙げられた12項目。

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