国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)は2024年7月、金融機関が持続可能性の主要課題と循環経済との相互関係を理解し、顧客を支援するためのガイダンスレポートシリーズ「Circular Economy as an Enabler for Responsible Banking Series(責任ある金融のイネイブラーとしてのサーキュラーエコノミー)」の第一弾を発表した。

今回は一連のガイダンスのうち、建築・建設業に焦点を当てたガイダンス文書「Circular Solutions to Achieve Climate Targets in the Buildings and Construction Sector(建築・建設業で気候目標を達成するための循環型ソリューション)」の概要を紹介する。金融機関の業務フローに則して、循環経済にむけた建築・建設関連事業の評価方法と推進策が紹介されている。金融機関だけではなく建築・建設業や不動産業の関係者にとっても参考になる内容だ。

なお本文書は「Circular Solutions to Achieve Climate Targets(気候目標を達成するための循環型ソリューション)」解説記事)の補足版と位置づけられており、併読を勧めたい。

建築・建設業の循環型ソリューションを特定する

建築・建設業は世界の温室効果ガス(GHG)排出量の21%に寄与しており、気候変動に多大な責任を負う。都市の拡大とともに、世界的な資材需要は2060年には倍増が見込まれ、2050年までの脱炭素目標から大きく道を踏み外している、とレポートは論じている。建物の長いライフスパンを考えても、業界の脱炭素への動きを加速させることは急務だ。金融機関が現在行う投資は、今後長期にわたって影響を及ぼすことになる。

建物のライフサイクル全体の排出削減には、循環型ソリューションが大きく貢献すると考えられている。循環型ソリューションの考え方は大別すると3つ、“避ける‐移行する‐改善する”だ。建物では、1) 廃棄を避ける、2) 再生可能・バイオベースな素材に移行する、3) 既存の素材を脱炭素に改善する、と言い換えることができる。

循環型ソリューションの特定には、欧州委員会が「Categorisation System for the Circular Economy(循環経済のための分類システム)」で提示する基準が活用できる。以下の1〜4は、欧州委員会の分類システムに建築・建設業における解説を加えたものだ。これらの基準に事業内容を照らし合わせることで、事業が循環型であるかどうかを判断する。

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