このシリーズでは、10分以内でサーキュラーエコノミーの学習ができる、比較的短く難易度の低い動画から順番に取り上げます。第2回の今回は、「Circular Economy… it’s the way forward」をご紹介します。動画の内容やエディターの視点も合わせてお楽しみください。

動画タイトル

Circular Economy… it’s the way forward

配信元

EU Environment

所要時間

5分24秒

配信日

2015年12月2日

動画の概要

サーキュラーエコノミーの実現に向けた行動計画を作成して、世界でもいち早くサーキュラーエコノミー化へ舵を切る欧州連合(EU)。2015年末の時点ですでに、サーキュラーエコノミーの概要を一般向けに伝える映像を制作している。

自然界では、すべてがアップサイクルされる。植物は太陽を吸収して成長し、枯れると土壌を豊かにし、また新たな種が芽吹く。そこにごみはなく、すべては再利用される。ごみは、実は人間からのみ生じる。しかし、サーキュラーエコノミーが始まれば、ごみが生じることで成り立つ私たちのライフスタイルも変わる。

サーキュラーエコノミーは、ごみを資源に変え、製品を最後まで価値あるものであり続けられるようにするものだ。ある産業では廃棄されたものが、別の産業では資源として利用されるのだ。

EUは、エコデザインや廃棄物削減、資源の再利用やリサイクルを通じてサーキュラーエコノミーに向かっている。サーキュラーエコノミーは、私たちのビジネスや社会システムをよりレジリエントなものにする。そのために投資しており、それによって多くの雇用を創出し、温室効果ガスの排出量を大幅に削減している。

サーキュラーエコノミーは、欧州に確実に根づき始めている。

企業からのDM配送を請け負うフランス郵政公社(La Poste)と取引しているというデザイン・コンサルティング会社Wiithaa(現Circulab)の共同創業者のBrieuc Saffré氏が登場する。郵政公社は、行きはDMを満タンにして出発するが、配送を終えて帰るときは空っぽの状態が多い。そこでこの同氏率いるWiithaaは、新たな取り組みを共同で始めた。郵送公社が配送の帰りに紙ごみに加えて、ダンボールやプリンタのカートリッジ、電子廃棄物などオフィスから出るすべてのごみを効率的に回収して戻れるよう、回収箱のデザインをモジュラー型に改良した。早速使ってもらえるよう、郵送公社に提案するのだという。

Brieuc Saffré氏はこのように話している。

「私たちの取り組みは珍しいかもしれないが、より多くの企業がさまざまな課題に直面する中、サーキュラーエコノミーが新たなチャンスをもたらしてくれる。私たちは、それらをサポートしたい。だから私たちはデザインし、アドバイスもして、彼らに気付いてもらうだけでなく、行動に移してもらいたいと考えている」

「今日、すべての企業やコミュニティは、新たな形で収入を得る必要性に迫られている。サーキュラーエコノミーは、自然と共存しながらそれらを実現できる」

乾燥機付き洗濯機のレンタルサービスを提供するオランダの会社もある。

そのバンドルズ社のCEO Marcel Peters氏はこう話す。

「お客様は洗濯機を購入するのではなく、使うだけ。特別なプラグを電源につなぐだけで、インターネットを通じて電気の使用量が分かる。そのデータにもとづいて、より環境への負荷の低い洗濯の方法をお客様に提案するのだ」

同氏はさらに続ける。「サーキュラーエコノミーの特徴は、たくさんの企業や機関が協力して事業を推進すること、そして地球環境への負荷を大幅に削減できることだ」

サーキュラーエコノミーの概念の生みの親でもある、スイスの建築家Walter R. Stahel博士は、最後にこう結んだ。

「サーキュラーエコノミーは、資源を効率化でき、かつ利益の出る新たな経済システムの構築につながる」

エディターの視点:サーキュラーエコノミーを通じて、新たな共創型ビジネスモデルを

動画のポイントを2点挙げてみたい。

1点目は、動画で登場するWiithaa(現Circulab)のBrieuc Saffré氏やWalter R. Stahel博士が言うように、サーキュラーエコノミーというレンズを通してみることで、新たなビジネスモデルを生むということだ。フランス郵政公社の既存のビジネスモデルに資源や人的リソースの点で無駄はないかと考えた結果、紙類以外の回収ができるクリエイティブな回収箱が誕生した。資源を効率的に回収するという自然と共存するモデルを作り、同時に新たな経済的利益を同社にもたらした。

2点目は、異なる業種間の共創が生まれるという点だ。Wiithaaとフランス郵政公社の協働や、洗濯機レンタルサービス バンドルズ社と洗濯機メーカーミーレや節水できた水量を途上国に寄付する社会的企業Made Blueとの連携など、これまでになかった共創が生まれ、環境・社会・経済的な価値が創出されるきっかけとなった。

参照リンク

【参照サイト】Circulab
【参照サイト】La Poste
【参照サイト】バンドルズ
【参照サイト】Miele
【参照サイト】Made Blue
【参照記事】Improve office waste collection with reverse logistics: La Poste case study

Circular Economy Hub Learning 動画シリーズ(全5回)

  1. Circular Economy Hub Learning #1 (動画「Circular Economy」より) 
  2. 今回 Circular Economy Hub Learning #2 (動画「Circular Economy… it’s the way forward」より)
  3. Circular Economy Hub Learning #3 (動画「Dame Ellen MacArthur: food, health and the circular economy」よりバタフライダイアグラムの解説) 
  4. Circular Economy Hub Learning #4 (動画「Meet the people designing out waste 」より)
  5. Circular Economy Hub Learning #5 (動画「Systems and Network Innovation」より)