このシリーズでは、10分以内でサーキュラーエコノミーの学習ができる、比較的短く難易度の低い動画から順番に取り上げます。最終回は、「Patrick Wiedemann | Systems and Network Innovation(システムとネットワーク革新)」をご紹介します。動画の内容やエディターの視点も合わせてお楽しみください。

動画タイトル

「Patrick Wiedemann | Systems and Network Innovation(システムとネットワーク革新)」

配信元

World Economic Forum(世界経済フォーラム)

所要時間

5分59秒

配信日

2016年2月19日

動画の概要

Reverce Logistics Group CEOのPatric Wiedemann氏が世界経済フォーラムの取材に応え、サーキュラーエコノミーにおけるリバースロジスティックス(以下、静脈物流)の意味について解説する。

今日の社会では、世界中の多くの人が消費者主義に則った生活を送っている。製品、特に電気・電子機器のライフサイクルは短く、すぐに新しいものが欲しくなるよう設計されており、梱包材や使用済み機器などの廃棄物は増加の一途をたどる。しかし、不要になったものを自然に放棄せず、きちんと管理することが生産者の責任として問われるようになった。

これを廃棄物に対する責任として捉えるのではなく、せっかくの資源を回収したいと考えるとどうだろう。ビジネスモデルから変わっていくはずだ。どうやって自社に留めるかと発想すると、素晴らしいチャンスに変わるはずだ。生産者から消費者へ製品が流れていく通常の物流の流れに対し、静脈物流とは消費者から生産者に向かう物流のことを指す。しかも、ただ単なる廃品回収としての物流ではなく、回収した資源を再び資源循環に戻す仕組みを視野に入れる。リサイクル物流といわれることもある。

企業としての思考はこうだ。使用済み製品を回収したい。なぜならばそこに資源としての価値があるからだ。回収するために、ビジネスモデルを最適化する。すでに使われた製品から原材料を確保できるとなると、企業にとって製品をいくつ回収できるか把握する必要が出てくる。そこで、その資源がたどる行方を追跡する必要が出てくる。誰が使っているのか、いつ使っているのか、いつ使い終わるのか。これらを明確にするため、リースやレンタル契約が用いられるケースも多い。

また、静脈物流を念頭において考えれば、価格を低く設定することもできる。再び回収して資源を取り出せれば価値が返ってくるからだ。回収して資源を取り出すことを考えると、設計も変わってくる。顧客にその資源を返してもらうメリットを提供しよう、顧客と対話を続けられるブランドにしよう、という視点も生まれる。

エディターの視点:静脈物流の意義

経済の活性化や社会・環境の持続性という観点から、サーキュラーエコノミーへの移行が急がれる。サーキュラーエコノミーの一つの重要な要素となる静脈物流によって、資源を回収し続け、競合優位性を守り、顧客をロイヤル化しつづけることができる。これをきっかけとして新たなビジネスモデルやキャッシュポイントが生まれる可能性もある。資源を回収しながら顧客エンゲージメントを高め、創造性に富む事業に組み立て直すことができる企業が今後顧客に選ばれていくだろう。

【参照サイト】Reverce Logistics Group

Circular Economy Hub Learning 動画シリーズ(全5回)

  1. Circular Economy Hub Learning #1 (動画「Circular Economy」より) 
  2. Circular Economy Hub Learning #2 (動画「Circular Economy… it’s the way forward」より) 
  3. Circular Economy Hub Learning #3 (動画「Dame Ellen MacArthur: food, health and the circular economy」よりバタフライダイアグラムの解説) 
  4. Circular Economy Hub Learning #4 (動画「Meet the people designing out waste 」より)
  5. 今回 Circular Economy Hub Learning #5 (動画「Systems and Network Innovation」より)