Circular Economy Hubでは、サーキュラーエコノミーの実現を目指す国内外のさまざまな動きを発信している。そもそもサーキュラーエコノミーとはどのようなもので、実際の社会に適応されるとどのように機能するのかーー。サーキュラーエコノミーについて理解を深めるため、筆者はエレン・マッカーサー財団が10週間にわたって提供するオンライン学習プログラム「From Linear to Circular: Open to All」に参加している。そこで得た学びをレポートする。

※本レポートは、エレン・マッカーサー財団に許可を得た上で、講義内容等を掲載したものです。

これまでの講義レポートはこちら

第1回「サーキュラーエコノミーとはそもそも何か?
第2回「サーキュラーエコノミーのためのデザイン
第3回「循環するビジネスモデル
第4回「次の段階のサーキュラーエコノミー

プラスチック問題は「アップストリーム・イノベーション」で解決する

第5回のテーマは「プラスチックのサーキュラーエコノミー」。講義が始まる前、事前に主催者側から質問が与えられた。

設問1

プラスチック問題を解決できると思いますか?楽観的に見ていますか?それとも悲観的に見ていますか?そう思う理由を教えてください。

設問2

次の4つの目標について、どのようなチャンスと課題があると思いますか?

①包装容器を使わない

②再利用できる包装容器

③包装容器の資源をリサイクルする

④プラスチック利用を減らす個々人の努力

設問3

プラスチック包装容器のサーキュラーエコノミーは、ただ包装容器を再設計するのではない。製品や運用を仕組みとして再設計することを指す「アップストリーム・イノベーション」のマインドセットをもって取り組むべきものだ。講義の前に、包装容器を再設計するにはどのようなアイデアがあるか、ブレインストーミングしてみよう。どのような製品や運用モデルを用いれば、プラスチックごみを無くすことができるだろうか。

あなたはどう思うだろうか。次に紹介する講義の内容を読み進める前に、一度考えてみてほしい。  

世界を埋め尽くすプラスチック

「プラスチック」と聞いて最初に頭に浮かぶ言葉をふたつ挙げるとすれば、何でしょう。本プログラムの司会進行役、エレン・マッカーサー財団のSebastian Egerton-Read氏(以下、セブ)は参加者にこう投げかけた。

数分のうちに集計されたキーワードは次の通りだ。

便利安い耐久性があるといったポジティブな言葉が並ぶ一方、汚染廃棄ごみになるなどのネガティブなものも多い。これは、私たちを取り巻くプラスチックをよく表している。

今日、プラスチックは私たちの生活のいたるところに存在している。プラスチックによって車は軽量化され、食べ物は衛生的に保存され、家は断熱材により暖かく保たれている。高い利便性から日常的に使う多くの製品の材質として使われており、プラスチックなしの暮らしなど想像できないくらいだ。この50年でプラスチックの利用は拡大し続け、製造は激増した。1964年には1500万トンだったものが、2014年には20倍の3億1100万トンへと膨れ上がり、この先20年でさらに倍増すると予測されている。なかでも利用用途として最も多いのは包装容器で、全体の26%を占める。

近年問題視されてきたプラスチックだが、一体何が問題なのだろうか。

今週のゲストスピーカー、エレン・マッカーサー財団でプラスチックのサーキュラーエコノミー化に取り組むネットワークであるPlastic Pactを担当するGarance Boullenger氏(以下ギャランス)は、自身の体験を次のように話してくれた。

もともとプラスチックごみ問題に大きな関心をもっていたギャランスは、以前住んでいたイタリアで毎週土曜日に水路のごみ回収のボランティアに参加することにした。参加者たちと手分けして清掃したところ、初めの週は2トンものプラスチックごみが集まった。その次の週も2トンのごみが集まった。続ければ水路はきれいになり、ごみは減っていくかと思われたが、何週間繰り返し続けても、廃棄プラスチックの量は一向に減らない。そこで気がついた。拾うだけでは到底追いつかないほどのスピードでごみが作り出されている。それよりももっと上流の、作るところから何かが根本的に間違っているのではないか、と。

そもそもプラスチックとは、石油にエネルギーをかけて加工したものだ。私たち人間は、地中の奥深くに眠る石油という資源を掘り起こし、ほんのわずかな間使用しただけでそれをごみに変え、多くを自然の中に撒き散らしている。プラスチック包装容器のうち、95%が使い捨て利用を目的に作られ、消費される。リサイクル回収されるのは全世界で14%にとどまり、分別・再加工の過程で失われるものも除くと、たった5%しか新たな製品に生まれ変わることはない。残りはすべて廃棄される。年間約8.5兆〜12.8兆円分ものプラスチック包装容器が、たった1回使われただけで捨てられていることになる。このうち約3分の1にあたる約800万トンがたった1年のうちに自然の中に流出し、数百年にもわたってエコシステムの中を漂うことになる。その一部は形を変え、私たち人間の口にも入っていることだろう。

このまま何のアクションも取らずプラスチック消費が拡大し続ければ、2050年までに海を漂うプラスチックごみが魚の量を上回り、プラスチック産業の原油生産量は全体の20%を占めるまでに増加。さらに、プラスチック包装容器の加工や焼却のため発生する二酸化炭素だけで、世界の年間二酸化炭素排出量の上限の15%を占めると予想されている。

この問題を解決するため、不要になったプラスチック包装容器を回収してリサイクルする取り組みは、早くから始まっている。しかし、店に行けば多くの商品のラベルに「リサイクル可能プラスチック」マークがついているし、家で資源ごみとしてプラスチックを分別して出しているはずなのに、リサイクルされるのはごく一部なのはなぜだろうか。これにはいくつもの要因がある。

使用する資源や形、ラベリング、回収の仕組み、分別・再加工のシステムなどが統一されておらず、それぞれの生産者・回収業者らの間での連携がないことがその主たるものだ。このため、市場に対して効果的なインパクトを生み出せていない。また、多くの包装容器には異なるプラスチック素材が組み合わせて使われているが、リサイクルするためにはそれぞれの素材に分ける必要がある。知識と意識、時間がなければ分別はできない。さらに、異なる素材に分けたところで、数多く存在するプラスチック素材をすべて別々に回収し、リサイクルする体制を取ることができる予算や人員体制を整えられている行政や機関はほとんど存在しないのが現状だ。

世界中の企業・政府らがともに目指す「ニュープラスチックエコノミー」

今求められることは、プラスチックを取り巻くバリューチェーン全体で基準を作り、すべてのステークホルダーが連携して動くことだ。仕組みに関わる人が連携し、グローバルサプライチェーンや物流における新しい包装のあり方や運用方法を開発し、推進することで、資源の価値を損なわず、経済を強化し、同時に環境負荷を軽減することができるはずだ。

2016年、エレン・マッカーサー財団は世界中の国際機関や大企業、専門家、起業家らを巻き込み、ニュープラスチックエコノミーを発足した。プラスチックがごみにならないことを目標に掲げ、使用された後も価値ある生物資源・人工資源として循環し続ける経済を目指す

これは、プラスチック分野のサーキュラーエコノミー三大原則に基づくものだ。①プラスチック使用後の経済の仕組みを作ること、②自然に流出するプラスチック量を大幅削減すること、③プラスチックを化石燃料から切り分けることにより、仕組み全体として経済的に、かつ環境に対してポジティブな結果をもたらすことを目指す。

現在、ニュープラスチックエコノミーには世界で450社を超える企業・団体が参画しており、コカ・コーラ、ユニリーバ、ネスレ、ウォルマート、ターゲット、ロレアルなどの多国籍企業やナショナルジオグラフィック、世界自然保護基金(WWF)、世界経済フォーラム(WEF)などの国際機関とともに、国や地域の行政なども名を連ねる。


プラスチックのサーキュラーエコノミー実現のための6つの方法

ニュープラスチックエコノミーが目指すのは、プラスチックのサーキュラーエコノミー化だ。この仕組みは、具体的には次の6つの方法で実現される。

①再デザイン・イノベーション・新しいデリバリーモデルによる、問題となる、もしくは不要なプラスチック容器包装の排除

・プラスチックは多くの恩恵をもたらしてくれるが、同時に、市場には問題のある製品が多く存在する。実用性を損なわずに包装容器自体を使わないという方法がある。

②再利用モデルの導入による使い捨て包装容器の削減

・リサイクル率向上は重要だが、リサイクルだけでは現在の課題の根本的な解決にはならない。

・このため、リサイクルだけではなく、できるだけ再利用に留めるためのモデルを導入することで、使い捨て包装容器の需要を減らすことができる。

③すべてのプラスチック包装容器は100%再利用・リサイクル・堆肥化可能なものに移行

・ビジネスモデル、資源、包装容器デザイン、再加工技術の再設計、イノベーションが必要不可欠となる。

・堆肥化できるプラスチック包装容器はあくまでも対処療法的であり、適切な場合において限定的に利用されるべきである。

④すべてのプラスチック包装容器が実際に再利用・リサイクル・堆肥化される

・環境に漏れ出すプラスチックをゼロに。最終的に埋め立て・焼却処分・廃棄物発電はサーキュラーエコノミーの目指すところではない。

・プラスチック包装容器を生産・販売する事業は、その製品が収集され、実際に再利用・リサイクル・堆肥化されるまでの工程に責任がある。

・政府は、効果的な回収インフラ、自走する経済モデルの確立、規制や法整備において重要な役割を担う。

⑤プラスチックの利用は、限りある資源の消費から完全に切り離される

・バージン(新品)プラスチックの利用(非物質化・再利用・リサイクルの手法で)を減らすことが最も重要となる

・限りある埋蔵資源を消費から切り離し、収集・リサイクルの需要を喚起するため、法的・技術的に可能な限りリサイクルされた資源を使うことが重要だ。

・バージン資源の利用は最小限に留め、もしも利用する場合は再生可能な資源の利用に切り替える。環境に負荷がかからず、責任を持って管理された資源のみが利用される。

・再生プラスチックの生産は、再生可能エネルギーのみを用いて行われるよう整備する。

⑥今後、生産・再利用されるすべてのプラスチックを無害化。すべての人の健康・安全・権利を脅かすことがないように

・プラスチック包装容器の生産、リサイクルの過程において有害物質の利用は排除する。

・プラスチックを取り巻く仕組みに関わるすべての人の健康・安全・権利は守られなければならない。とりわけ、ウェイスト・ピッカーなどで生計を立てる人たちの生活環境を向上するものでなければならない。

プラスチックを変える世界の動き

これらの指針を実現するためには何ができるのだろうか。実際に今起こっている世界の取り組みを紹介したい。

プラスチックパッケージングの再定義 4つのモデル

そもそも、包装容器は何のために用いられているのだろうか。目的から考えると、今のプラスチック包装は再設計できるものがいくつもあることに気づく。

例えば、ラグジュアリー感のあるアイスクリーム容器を想像して欲しい。冷蔵庫から出した後、何時間も中のアイスクリームが溶けず、サブスクリプション型で家まで届けてくれ、使い終わったら回収しにきてくれる。利用者にとって体験価値が高く、個々人のニーズに柔軟に対応できる。こういった仕組みはブランド・ロイヤルティを高め、オペレーションの効率を向上させ、コストを削減してくれる。包装容器の果たすべき役割から考え、現在利用できる多くのテクノロジーを用いれば、無限の可能性があることに気づくはずだ。

エレン・マッカーサー財団の調査によれば、世界で使われる使い捨て包装容器の2割を再利用モデルに変えるだけで、日本円にして約1兆円ものビジネスチャンスになるという。また、再利用モデルが重要なのにはもうひとつ理由がある。

使い捨てプラスチックをどんなに回収して、分けて、再度プラスチック素材として使おうと思っても、再加工には多くのエネルギーがかかるのだ。さらにプラスチックという素材の性質上、始めと同じ純度で同じクオリティの資源に戻すのは非常に難しい。

では、どのようなフレームワークを用いて考えればこれらのメリットを享受しつつ、プラスチックによる環境負荷を根絶していけるのだろうか。ヒントは、包装容器素材だけを再利用する想定で変更するのではなく、生産・利用・回収からなる仕組みから組み立て直すことにある。使い捨てプラスチック包装容器を脱却するための4つの再利用モデルを紹介したい。

①家でリフィル型

利用者が、再利用できる容器に家でリフィルするモデル。実店舗型ビジネスでもオンラインショッピングサイト型ビジネスでも採用できるものの、実際に棚に並んだ時、他の商品より目立ち選ばれやすいようにデザインされたパッケージと比べ不利になるため、特にオンラインでの販売に向く。家の他にも、オフィスなど、常駐する場所でのリフィルが想定される。リフィル版はパッケージングが小さく済むため、事業者は輸送コスト削減・包装容器生産コスト削減のメリットがある。定期的にリフィルを提供するので、ブランドロイヤルティ向上にもつながる。利用者にとっては、リフィル版は安く購入でき、かさばらないため持ち運んだり家に取っておくのに場所を取らないなどのメリットがある。宅配型のサブスクリプション型サービスなどがこれに該当する。

例)by Humankind

アメリカのスタートアップ、by Humankindは、使い捨てのプラスチック容器利用を減らしたデザインのパーソナルケア商品をオンラインショップで販売する。例えば、彼らのマウスウォッシュはタブレット状だ。これをコップの水に溶かすことで通常のマウスウォッシュとして使うことができる。by Humankindの商品を買うと、美しく耐久性のある容器に入って届き、繰り返し使うことができる。リフィルは堆肥化する素材のパッケージで届ける。

例)Replenish

清掃・衛生用品プラットフォームのReplenishは、カスタマイズ可能なスプレーボトルと濃縮還元された液体が入ったポッドを提供する。全世界25万人の利用者を有する。スプレーボトルは耐久性が高く再利用を想定した作りになっており、清掃用の濃縮液が含まれたポッドをはめ込み、水を入れることで利用できる。1ポッドでスプレーボトル6本分入っているため、プラスチックの容器を9割減らし、同時に輸送コストも削減する。アマゾン向けにブランド「Amazon Clean Revolution」は、利用者に15%割引を提供するだけでなく、無くなる頃に自動的にリフィルが届く仕組みだ。

②外でリフィル型

利用者が、再利用できる容器に家以外の場所でリフィルするモデル。実店舗や補充できる場所が必要になるため、店舗型のビジネスや地元密着型ビジネスに向く。低収入者向けの市場にとってもメリットが大きく、使い捨てプラスチックを使わずに少しの量を安い価格で必要な分だけ提供することが可能だ。飲料や油、穀物、小麦などの販売にも適している。事業主にとってはユーザーの動向やニーズをデータ解析してビジネスを最適化しやすいメリットがある。また、輸送コストや包装容器製造コストを抑えることができる。補給場所が衛生的で、安全に保ち、誰にとっても使いやすいよう設計することが重要となる。

例)Algramõ 2.0

ユニリーバとネスレが合同で行ったパイロット版事業Algramõ 2.0は、リフィル型の衛生用品などを電動リヤカーで移動販売する。利用するには、まず再利用可能な容器を購入し、オンラインでアカウントを作る。購入時の決済や、容器を再利用した際のクレジット付与はすべてこのオンラインアカウント上で完結する。ホームケア用品やペットフードなどを購入することができる。

③家で返却型

このモデルは、空の容器の回収を、次の商品の配達と同時に行うことが好ましいため、オンラインショッピングに向く。また、製品を買いに遠くまで行かなくてもよくなるため、地方でのビジネスにも適している。事業者は、利用者にとって返却することがメリットになるように、デポジットなどのインセンティブを設計することが求められる。経済的・環境的観点から、その地域内でリバースロジスティックス・清掃・リフィルの工程を完結できるように設計することが重要となる。サブスクリプションモデルとは違って、ユーザーは在庫がなくならないよう逐一確認・管理する手間がかからない。ユーザーにとって購入しやすい価格設定を維持するためには勢いを持った事業拡大が必須となる。以前紹介したLoopなどもこのモデルだ。

例)Liviri

アメリカのスタートアップLiviriは、宅配用の再利用可能な保冷容器と保冷剤を提供する。オペレーションは、会社が容器を買って顧客への配送・回収・清掃・次の宅配まで自ら管理するモデルと、使い終わったら容器をLiviriに送り返すモデルの2通りが用意されている。

④外で返却型

利用者の購買シーンをほぼ変えることなく、使い捨てプラスチックを排除できるため、多くのビジネスに採用できるモデル。容器の返却率を担保するために返却するメリットを高めるインセンティブ設計が重要。ブランドや産業を超えて、パッケージや返却場所、物流、清掃施設などの仕組みを標準化し、共有できるよう仕組みを整えることが求められる。経済的・環境的観点から、その地域内でリバースロジスティックス、清掃、リフィルの工程を完結できるように設計することが重要となる。ユーザーにとって返却のメリットを明確化し、確実に返却してもらうことが重要だ。

例)CoZie

Image via CoZie

フランスのCoZieは化粧品を量り売りする。フランス国内に335カ所販売スペースがあり、利用者はボディクリームやフェイスクリームなどを好きな量購入することができる。初めに1.5ユーロのデポジットとともにガラスの容器を購入することができ、中身を使い切ったら返却・交換できる。回収した容器は無料でCoZieが清掃し、衛生的に次の利用者へと渡る。オンラインで決済できる仕組みだ。

Plastic Pact(プラスチック協定)への参加広がる

プラスチックによる環境負荷の排除には、地域毎の連携が不可欠だ。Plastic Pact(プラスチック協定)は、プラスチックのサーキュラーエコノミーを実現するためのネットワークだ。地方行政・各国政府・企業・国民が共通の目標に向け前進するために目標を定め、地域内での連携を促進する。また、ネットワークに加盟する他地域との情報交換や連携も促進する。現在までに7つの地域がそれぞれの地域内でプラスチックのサーキュラーエコノミーを確立するためにPlastic Pactを発足した。イギリス・フランス・チリ・オランダ・南アフリカ・ポルトガル・EUはすでに始動しており、オセアニアもすでにANZPAC Plastic Pactの発足とPlastic Pactネットワークへの参加を表明している。

世界は大きく前進している

ニュープラスチックエコノミー発足移行、使い捨てプラスチック排除を環境負荷根絶に向け、世界は大きく動いた。2019年、エレン・マッカーサー財団と国連環境計画が共同で発表した「New Plastics Global Commitment progress report」によると、世界は大きくプラスチックのサーキュラーエコノミーに向け前進した。主な成果は次の通りだ。

・参画企業は問題となるプラスチック包装容器を根絶するアクションプランを策定し、再生プラスチック材利用量を2025年までに5倍にすると発表。これは、年間2500万バレル(30億リットル)の石油を地球に留めたままにすることになる。

・世界を代表する多国籍企業、ユニリーバ・マーズ・ペプシコはそれぞれ2025年までにバージンプラスチックを大幅削減する計画を発表。

・参画企業のうち6割は今日までにすでに再利用・リサイクル・堆肥化できるプラスチック包装容器を導入しており、2025年までに100%を達成すると公約。

・国レベルではフランス・ルワンダ・イギリスが、都市レベルではサンパウロ・オースティンが、すでに使用禁止令・公共調達・拡大生産者責任(Extended Producer Responsibility:EPR)スキーム・財政措置・研究開発への投資からなる特別措置を策定した。

この動きをさらに大きく結果につながるものにするために、エレン・マッカーサー財団と国連環境計画は、より多くの企業や政府にニュープラスチックエコノミーへの参画を呼びかけている。

プラスチック問題解決をテーマに2000人で議論

今回の講義が始まる前に、事前に主催者側から与えられた質問に対し、多くの回答が寄せられた。

設問1

プラスチック問題を解決できると思いますか?楽観的に見ていますか?それとも悲観的に見ていますか?そう思う理由を教えて下さい。

この問いに対し、悲観している人も多いものの、楽観的に見ている参加者の方が少し多かった。そのなかからコメントをいくつか紹介したい。

「残念ながら、現状ではあまり現実的ではないと思う。製品を運搬する際のプラスチックの利便性は素晴らしく、多くの企業がこれに依存している。また、これらの企業にとって、使い捨てプラスチックを減らすことの優先順位はあまり高くないのではないか。スーパーに行って、プラスチックで包まれていない商品ばかりを買って帰ってくることは不可能に思える。量り売りしか解決策はないのだろうか」

「楽観的に見ている。プラスチック問題は誰の目に見ても明らかで、わかりやすく、広く認知が進んだ。すでにいくつもの大企業が解決策を考え、実践に移している。大企業が実践に移すことで、サステナビリティに意識の高い人だけでなく、より多くの人が利用するようになり、インパクトも大きなものになる」

「消費者から非常に大きなプレッシャーがあるため、企業は変わらざるを得ないだろう。しかし、異なる原料の包装容器についてのLCA(ライフサイクルアセスメント)を理解することも重要だ。総合的に考えると、プラスチック以外の選択肢の方が環境負荷が少ないとは限らないことがわかる」

設問2

次の4つの目標について、どのようなチャンスと課題があると思いますか?

①包装容器を使わない

課題衛生面と安全性。使わないことで食品の新鮮さがより早く損なわれ、多くのフードロスが発生するなど他の問題を引き起こすリスクもある。

チャンス店舗においてディスプレイの仕方を工夫できるのではないか。(棚で目立つためにデザインされたパッケージが有利にならないように)

②再利用できる包装容器

課題衛生面、清掃や回収にかかるコスト。返却してもらえるかは利用者次第。

チャンスすでに良いモデルが存在しているから改善していけばいい。この(寿命延長)モデルは新しい雇用を生む。多くの企業がこのモデルを実践・検討しており、消費者の興味が高まっている。

③包装容器の資源をリサイクルする

課題消費者への教育。消費者に清掃や分別、返却の意図がないと機能しない。リサイクルはリニア型の消費にいくつかループが追加されただけではないだろうか。プラスチックをリサイクルすること自体はサーキュラーエコノミー型とみなすのをやめるべきだ。

チャンス地元に根ざした地域型のリサイクルの仕組みは、返却率やエネルギー効率が向上するはずだ。

④プラスチック利用を減らす個々人の努力

課題人々の習慣やマインドセットを変えるのは難しい。消費者に「不便だけど環境に良い」「便利だけど環境に悪い」といった悪い選択肢しかないなかから正しい選択をしろと迫っても本質的に解決しない。個々人の努力の問題ではない。

チャンスインセンティブを用意することで、ある程度人々の行動変容を喚起できる。スーパーなどで野菜を入れる袋がプラスチックのものしか置いていない。再生紙などを設置することを政府が義務付ければすぐに変わることも多いのではないか。

設問3

プラスチック包装容器のサーキュラーエコノミーは、ただ包装容器を再設計するのではなく、製品や運用を仕組みとして再設計するものだ。これをアップストリーム・イノベーションのマインドセットと呼ぶ。包装容器を再設計するにはどのようなアイデアがあるだろうか。どのような製品や運用モデルを用いれば、プラスチックごみを失くすことができるだろうか。

ソフトドリンク

・濃縮還元シロップと水に分けて販売する。炭酸飲料が飲みたければソーダストリームを使えばいい。

・リフィル・ステーションがあれば容器はいらない

・ガラス容器を使って、返却できるようにする

・自動販売機で容器なしの飲料だけ販売すればいい

シャンプー

・粉を水で溶く仕様のシャンプーを作る

・(プラスチック)容器を作る際のリサイクル素材率を上げる

・髪を洗う回数を減らすようプロモーションをかける。短いヘアスタイルを流行らせる(そうすれば少ない量のシャンプーやコンディショナーで足りる)

・シャンプー・バー(固形石鹸状のシャンプー)

・スーパーにリフィルステーションを設ける

・バスプロダクツのラッシュはとてもおしゃれなプラスチック・フリーコレクションを展開していて、多くの消費者はこれを支持している

質問:消費者の役割は?行動変容を促すにはどうすればいい?

まず前提として、これは消費者だけの問題ではなく、仕組み自体の問題だと認識することだ。消費者一人ひとりの行動変容を促すには限界がある。また、リサイクルできない構造、素材の容器をどうにかするのは消費者一個人の責任ではない。政府や企業には、正しい仕組みを作り直し、実践する責任があり、それを機能させるためには消費者をエンゲージさせるという役割が生まれる。

例えば、最近パイロットを始めたイギリスのスーパーマーケットチェーンWaitroseが良い事例だ。彼らは扱うすべての商品をパッケージ・レスにしてしまった。店自体もまったく異なる仕様に作り変えた。つまり、新しい仕組みを導入した。そして、店に来る消費者に対して、それがどういう仕組みになっているのか、どのように関わってして欲しいのか丁寧に説明し、消費者もよく理解を示してエンゲージしている。パイロット版は大成功し、実施店舗を広げる予定だという。

質問:なぜPlastic Pactに加盟しているのはヨーロッパの地域が多いのか?

地理的に、エレン・マッカーサー財団のあるイギリスやヨーロッパに多くのネットワークが集中しているためだ。オセアニアは参画を発表している。すでに北米やアフリカも近く参画する意向を示している。その他の地域についても間違いなく対話を続け、参画を促していく。

質問:COVID-19のパンデミックは世界的な脱プラスチックの動きにとって逆風になったのではないか。後退しないためには何が必要か?

衛生面の恐怖感から使い捨てプラスチックに戻りたくなるのは理解できる。しかし、包装容器の役割は何か、という点に立ち返って考えるべきだ。COVID-19によって私たちが強く求めるようになったのは、使い捨てプラスチックではなく「衛生」のはずだ。ここでもテクノロジーとイノベーションが重要となる。

今回紹介したチリのAlgramõ 2.0は、完全に自動化されたリフィルの仕組みを採用しており、誰とも接触することなく買い物が完結する。リフィルするために実際触らなくてはならないのは、自分が家から持ってきたボトルだけだ。機械でボトルを自動認識して、リフィルしてくれ、決済もオンラインで完結する。しかも大きなスーパーに入る必要がないため多くの人と近づく心配もない。電動リヤカーが近所まで来てくれる。使い捨てプラスチックを使わずとも、「ポストコロナ」において有用なモデルは多くあるはずだ。

エレン・マッカーサー財団のオンライン学習プログラム「From Linear to Circular: Open to All」第5回の今回はプラスチックというテーマで行われた。次回は「サーキュラーエコノミー:都市」のテーマについてレポートする。

これまでのレポート

第1回:「サーキュラーエコノミーとはそもそも何か?」エレン・マッカーサー財団学習プログラム From Linear to Circular #1
第2回:「サーキュラーエコノミーのためのデザイン」エレン・マッカーサー財団学習プログラム From Linear to Circular #2
第3回:「循環するビジネスモデル」エレン・マッカーサー財団学習プログラム From Linear to Circular #3
第4回:「次の段階のサーキュラーエコノミー」エレン・マッカーサー財団学習プログラム From Linear to Circular #4

【参照サイト】エレン・マッカーサー財団
【参照サイト】New Plastics Economy
【参照サイト】Progress Report
【参照サイト】by Humankind
【参照サイト】Replenish
【参照サイト】Algramõ 2.0
【参照サイト】Loop
【参照サイト】Liviri
【参照サイト】CoZie
【参照サイト】ソーダストリーム
【参照サイト】Waitrose
【参照記事】
裸の真実:パッケージ不要のコスメ
【関連記事】エレン・マッカーサー財団「プラスチック協定」の地域イニシアチブが欧州で発足
【関連記事】豪、NZ、南太平洋諸島がエレン・マッカーサー財団「プラスチック協定」への参加を表明
【関連記事】エレン・マッカーサー財団、サーキュラーエコノミーの無料オンライン学習プログラムを提供開始