小売大手のイオン株式会社(以下、イオン)はこのほど、使い捨てプラスチックの使用量削減に向けて、2022年度に注力する2つの取り組みを発表した。2つの取り組みは、「無料配布カトラリー類を紙・木製に切り替え」と「イオン店舗で回収したペットボトルを使用したトップバリュ商品の発売」である。

両取り組みにより、年間約500トンの使い捨てプラスチックと約1,486トンのCO2を削減できるとしており、その概要について、イオンは以下を発表した。

  1. 無料配布カトラリー類を紙・木製に切り替え:2022年3月から順次、イオンの主要グループ店舗で無料配布しているストロー・カトラリー類をプラスチック素材から紙や木などの環境配慮型素材へ切り替える。これにより、年間約150トンのプラスチックを削減できる
  2. イオン店舗で回収したペットボトルを使用した「トップバリュ」商品を発売:イオン店舗の資源回収箱で顧客から回収した使用済みペットボトルを容器の原材料に再生し、「トップバリュ」の飲料を発売する。同商品は、2021年2月に丸紅グループと連携して開始した「ボトル to ボトル プロジェクト」を通じて調達したペットボトルを使用する。これにより、年間約350トンの化石由来のバージンプラスチックを削減できる

イオンは、事業活動で使用する使い捨てプラスチックを2030年までに半減する目標を掲げている。同社ブランド「トップバリュ」で使用するペットボトルは、2030年までに100%再生または植物由来素材に転換することを目指している。

今回イオンが発表した取り組みの背景には、4月1日から施行される「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」がある。同法により、コンビニ・飲食店・宿泊施設・クリーニング店などに、フォーク・スプーン・ナイフ・ストローなどの特定プラスチック使用製品の廃棄物排出抑制を目指すことが義務付けられる。廃棄物排出抑制に向けて事業者が選択できる取り組みとして、イオンが今回発表した「軽量な製品・再生可能資源や再生プラスチックを使用した製品を提供する」のほかに、「特定プラスチック使用製品を有償で提供する」「使用回避を促すべく、ポイント還元などの景品を提供する」「消費者に使用についての意思を確認する」「繰り返し使用が可能な製品を提供する」などを同法は挙げている。

「カトラリーを紙・木に切り替え」と「店頭回収ペットボトルの循環」によって、多くの使い捨てプラスチック廃棄物が削減されることが予測される。一方で、「使い捨てプラスチックによる汚染への対処は必要だが、紙製容器包装も環境に重大な影響を及ぼす可能性があり、現実的で永続的なソリューションの実装が不可欠である」との指摘もある。使い捨て容器包装全体の削減には、イオンもすでに実施している「消費者に使用についての意思を確認する」取り組みを促進し、顧客も責任を持って容器包装の使用削減に貢献していくことが重要になるだろう。

【プレスリリース】カトラリーを紙・木に切り替え、店頭回収ペットボトルがトップバリュ商品に
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*冒頭の画像の出典:イオン株式会社