小売大手イオンは5月19日、日用品や食品などの容器を回収、洗浄し再利用するショッピングプラットフォーム「Loop」の商品を首都圏19店舗で25日に販売開始すると発表した。Loopの商品を販売する小売店としては国内初となる。

ガムや洗剤など13品目からスタート、今夏50店舗での展開目指す

同社は、2019年末にLoop商品の販売を開始する方針を表明。今回はまず、ガムや洗剤シャンプー、消臭剤、マウスウォッシュ、カミソリで6社13品目を店頭の特設コーナーでまとめて販売を開始する。利用客は店舗やネットスーパーで商品を購入、利用後は店舗に設置されたLoopの容器回収機で発行されるQRコードを使用済み容器に貼り付け、利用者のLoopアプリでスキャンした後に容器を投入すると、2週間程度をめどにアプリ経由で容器代が返却される仕組みだ。

Loopによる店頭回収再利用システムの仕組み(提供:イオン)

当初販売開始する商品群(提供:イオン)

Loop商品の取扱店舗は、イオンスタイル南砂やイオン西新井店など東京都内を中心とした19店舗。このうち、15店舗はネットスーパーでも取扱う。同社はLoop商品の取り扱い店舗を8月末までに50店舗に拡大するとともに、取扱商品数も22年春をめどに約50品目に増やすことを目指すとしている。

顧客とのリユースアクションを強化

イオンは、2020年9月に発表したプラスチック利用方針の中で、30年までに使い捨てプラスチックの使用量を半減させ、脱炭素・資源循環型ライフスタイルアクションを開始すると表明している。Loop商品の取り扱いを始める背景として、同社環境・社会貢献部の鈴木隆博部長は「これまでは、容器包装削減や環境に配慮した素材への切り替え(リデュース)とリサイクルを中心に取り組んできたが、繰り返し使用する(リユース)の取り組みが少なかった」と説明。Loop商品の販売を通じて、使い捨て容器の削減につなげる考えを示した。

イオン店頭に設置されるLoop容器返却ボックス(提供:イオン)

Loopは2019年1月のダボス会議で容器包装リユースプラットフォーム構想を発表した後、同年5月に米国とフランスでサービスを開始。現在、世界200社以上と提携してサービスを展開している。このうち、小売業では仏カルフールや英テスコなどの世界的な大手との提携を実現。今秋には米クルーガーとの提携も始まる予定で、Loop Japan合同会社 アジア太平洋統括責任者のエリック・カワバタ氏は「Loopは消費財メーカーと小売店にとって使い捨てサプライチェーンからの脱却を可能にする世界的なプラットフォームです」とコメントした。

容器の再利用をめぐっては、再利用を重ねることで容器表面に傷がつくことなどへの消費者の反応も気になるところだが、これに対して同氏は「海外では、新品の容器よりも多少傷がついた容器のほうがきちんと再利用されている、さらには自分も環境活動に参加しているという気持ちを持ってもらえている。日本でもそのように思っていただけるのではないか」と期待を寄せている。

【プレスリリース】
5月25日より東京を中心にイオン19店舗循環型プラットフォーム「Loop」の商品販売(2021年5月19日発表)
【関連サイト】
イオンによるLoopに関する特設サイト
Loop アプリダウンロードURL(5月25日よりダウンロード可能)https://loopmobileapp.com/ja-JP/

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