服飾メーカーの米Allbirds(オールバーズ)はこのほど、米国に本拠を置く新素材開発企業「ナチュラル・ファイバー・ウェールディング(以下、NFW)」とNFWのMirumテクノロジーに200万ドル(約2億1,300万円)を投資し、100%植物由来の「プラントレザー」を開発したことを発表した。オールバーズ社のオープンソースに、同プラントレザーを加えるとしている。

Mirumは、2015年創業のNFWが最初に市場展開した製品で、天然由来の生分解性ポリマーで作られており、ポリウレタンでコーティングせず、合成接着剤も使用していないのが特徴だ。手触り感の調整や複雑な構成など、あらゆる工夫が可能な素材であるとオールバーズはみている。ファッション業界は「レザーに替わる素材」を長年模索しているなか、その答えを具現化すべく、今回Mirumテクノロジーを利用した開発が実現した。

同プラントレザーは自然に還る素材で、植物油や天然ゴムなどの生物由来の素材を原料とした最もサステナブルなレザーであるとオールバーズは考える。その理由として、カーボンインパクト(CO2による環境への影響)を従来の天然皮革に比べて40分の1、石油由来の合成皮革と比べて17分の1に軽減した点を挙げている。

こうした素材開発のみならず、全商品におけるカーボンフットプリントの表示などのカーボンゼロに向けたオールバーズのさまざまな取り組みは、サステナブルな未来が実現可能であることを証明すると同社はみている。単独企業では成し遂げられない気候変動という難題に立ち向かうために、競争ではなく提携が必要であるとの考えを示した。

(出典:オールバーズ合同会社)

オールバーズの共同創業者であるジョーイ・ズウィリンジャー氏は、「多くのファッション企業は、環境より生産速度とコストを優先させるため、環境に悪影響を与える石油由来の合成素材やサステナビリティに欠けるレザーを長く使用し続けてきました。NFWは規模拡大に対応できるサステナブルなプラントレザーを開発しており、この素材はCO2排出量を98%抑えられる能力を秘めています。今回の提携およびNFWのテクノロジーにより開発されるプラントレザーは、ファッション業界から石油系素材をなくすための大きな一歩となるでしょう」と述べている。

NFWの創業者であるルーク・ハヴェラール氏は、「いま、社会に蔓延している欠乏感は、プラスチックや石油系製品に頼り続けてきた結果です。しかし、サステナブルで再生可能な手法に基づいたテクノロジーは、この問題を解決して新しい時代を生むでしょう。新しい時代に向けた取り組みを牽引するオールバーズと提携を結ぶことは、私たちにとっても大きな意味があり、大変喜ばしいことであると感じています」と語っている。

【プレスリリース】世界初!サステイナブルライフスタイルブランド「Allbirds」が100%植物由来の「プラントレザー」を開発
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*冒頭の画像の出典:Allbirds合同会社