アサヒグループホールディングス株式会社(以下、アサヒグループ)はこのほど、一般社団法人 広域連携事業推進機構(以下、広域連携事業推進機構)が主催する「ふぞろいのストロープロジェクト」に参画することを発表した。2020年11月、同社は国産のじゃがいもでん粉を原料とする食べられるコップ「もぐカップ」を開発・使用展開したが、今回は麦わら由来のストローを使ったプロジェクトへの参加となる。

同プロジェクトは麦わら由来のストローの生産拡大・活用促進を通じて、廃棄物削減や仕組みの創出および海洋汚染問題へ寄与することを目的とする。2022年度に予定されている「プラスチック資源循環促進法案」の施行前に、代替素材への転換が促進されている社会的情勢も踏まえて「麦わらストロー」の普及に取り組み、地域社会との共創による循環型経済モデル構築を目指す意向だ。

そもそも、ストローは英語で「わら」という意味で、麦わらはプラスチックストローが普及する前に使用されていた。麦わらを丁寧に収穫して適切に加工することで、水分を含まず柔らかくならない使用感の良い飲料用ストローを製造でき、農作物であるため長さや太さもさまざまだが、自然な風合いが感じられると同社はみている。

広域連携事業推進機構は、全国の農業生産者・民間企業・社会福祉法人・教育機関・非営利団体・行政機関などが参画および後援しており、産業や地域の垣根を越えて連携し、産官学民一体で地球と社会の問題解決への貢献を目的として2021年4月に設立された。

ふぞろいのストロープロジェクトの活動初年度となる2021年は、「麦わらストロー」の製造方法・品質管理の確立・販路開拓などに取り組み、「麦わらストロー」の加工工程の一部を福祉団体・就労支援施設へ委託し、障害者の自立支援を目指す農福連携も推進する予定だ。麦の収穫時期である5月中旬から順次「麦わらストロー」を作り始め、全国で「麦わらストロー」1,000万本を製造することを目標とする。

製造したストローは環境問題についてのワークショップなどで使用するほか、2021年8月をめどに環境問題に積極的に取り組む飲食店や企業・団体などに販売する計画で、今後ECサイトでの販売も検討している。将来的には地域が自立して製造・販売できる仕組みを確立させ、地域経済を活性化させる持続可能な事業として展開していく考えだ。

プロジェクト名の「ふぞろいのストロー」は、「麦わらストロー」を産地・色合い・太さ・長さなどさまざまな違いを楽しみとして提供し、全国の農業生産者・民間企業・社会福祉法人・教育機関・自治体・非営利団体・行政機関など多様なステークホルダーが地域や組織の垣根を超えて取り組むプロジェクトの多様性を表す言葉として名付けられた。

アサヒグループは、これまでの事業活動で培った安全安心なものづくりの技術力や社外とのネットワークを活かし、「麦わらストロー」の生産拡大・活用促進に向けた情報発信や生産技術開発支援に取り組むとしている。アサヒグループでは、グループ理念「Asahi Group Philosophy」において、行動指針の一つとして「事業を通じた持続可能な社会への貢献」を掲げている。持続可能な資源利用の実現に向けた目標「3R+Innovation」を2020年に定め、プラスチックの使用削減に取り組んでいる。今後も「自然の恵み」を享受し事業活動を行う企業として、水や原材料などの環境負荷を低減させ、CO2排出量削減に貢献していくとともに、革新的な取り組みにより、環境に好影響を与えるような循環創出も目指し、持続可能な社会の実現に向けた事業活動を推進していく構えだ。

広域連携事業推進機構参画企業および同プロジェクトの協力団体は、以下のとおりだ。

広域連携事業推進機構参画企業

  • アサヒグループホールディングス株式会社
  • 株式会社アワーズ(大阪府、動物園・水族館・遊園地および博物館運営)
  • 株式会社イカリファーム(滋賀県、農業生産者)
  • 株式会社イケマコ(佐賀県、農業生産者)
  • 株式会社大麦倶楽部(福井県、農業生産者)
  • 株式会社大麦工房ロア(栃木県、農業生産者)
  • おもろいカンパニー合同会社(東京都、プロジェクト企画・総合プロデュース)
  • 株式会社勤労食(愛知県、社員食堂・学生食堂運営)
  • 株式会社ジャパンブルー(岡山県、アパレル)
  • 株式会社フェルマ木須(佐賀県、農業生産者)
  • 株式会社平成開発(佐賀県、環境資源リサイクル)
  • 株式会社山長商店(和歌山県、林業・木材)
  • 社会福祉法人ゆずりは会(群馬県、農業生産者・障害福祉サービス事業所)
  • レンゴー株式会社(大阪府、紙製資材メーカー)

※五十音順、2021年4月時点

協力団体

  • 千葉大学園芸学部食料資源経済学科 吉田行郷教授:オブザーバー
  • 女子美術大学:「ふぞろいのストロープロジェクト」アンバサダー。「麦わらストロー」ブランディングに関する共同研究を担当
  • 浜野製作所(東京都):生産技術協力。生産効率化へ向けた新たな技術開発を担当

【プレスリリース】アサヒグループ、『ふぞろいのストロープロジェクト』に参画
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*冒頭の画像の出典:アサヒグループホールディングス株式会社