欧州委員会はこのほど、EUにおけるカーボンファーミング(炭素農業)の実施方法に関する2年間の研究の最終報告書を発表した。欧州委は、同報告書と、EUが資金提供する複数のプロジェクトなど得られた情報に基づき、2021年末までにカーボンファーミングイニシアチブの開始を予定している。

2018年から2020年にかけて実施された最終報告書「技術ガイダンスハンドブック– EUにおける結果ベースのカーボンファーミングメカニズムの設立と実施」において、カーボンファーミングを開発するための主要な問題・課題・トレードオフ・設計オプションについての調査が行われた。そこでは、5つの有望な分野とされる泥炭地の回復と再湿潤、アグロフォレストリー(森林農業)、無機質土壌における土壌有機炭素(SOC)の維持と強化、草地におけるSOCの管理、畜産農業の炭素監査において気候分野におけるメリットをもたらす既存の仕組みがレビューされた。また、EUにおいて、カーボンファーミングがどのように普及しているかについても調査された。

カーボンファーミングは、気候変動への取り組みに大きく貢献し、炭素の隔離と貯留、および生物多様性の向上や生態系の保全などの他の要素にも相乗便益をもたらすことができると同報告書は結論付けており、民間の関係者や公的機関がこれまで以上に多くのカーボンファーミングイニシアチブを開始するのを支援するためのガイダンスとして役立つと期待される。

欧州委上級副委員長のフランス・ティマーマンス氏は次のように述べている。「気候変動対策によって、何よりもまず人為的なCO2の排出を削減する必要があります。しかし、大気からCO2を回収して土壌や森林に貯留できるように、自然の炭素吸収源を復元して保護する必要もあります。カーボンファーミングは農家に新しい収入を提供する機会となるでしょう。また、新しい共通農業政策の仕組みと民間資金とが、気候や生物多様性の危機に対処するのに役立つ農業慣行にどのように報いることができるかを示す一例となるでしょう」

欧州委は、大気から炭素を除去する自然ベースのソリューションは、EUが気候中立を達成するのに役立つ可能性があり、ふさわしい見返りを受けるべきであるとしている。したがって、ファーム・トゥ・フォーク(農場から食卓まで)戦略で発表されたように、バイオ経済に関わるステークホルダーに新しい収入源を提供するグリーンビジネスモデルとしてカーボンファーミングを促進する。また、サーキュラーエコノミー行動計画で発表されたように、炭素除去の信憑性を監視・検証するため、堅牢で透明な炭素会計に基づいて炭素除去を認証するための規制の枠組みを開発していく。さらに、2021年末までには両方のイニシアチブの行動計画を定めた政策文書を発表することを予定している。

EUにおけるカーボンファーミングイニシアチブの運用 : 5つの主要分野

1. 泥炭地の回復と再湿潤

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