資産運用業務の世界大手米ブラックロックはこのほど、サーキュラーエコノミーに焦点を当てた投資ファンド「BGF Circular Economy」の募集が9億ドル(約950億円)に達したと発表した。昨年10月の設立時のシードマネーは2,000万ドル(約21億円)であり、ファンドとして大きな成長を遂げた。

サステナブル投資に関連する資産は近年急速なペースで成長しており、ブラックロックはこの傾向が続くとみていることを発表している。ESG投資は、企業業績や株価のパフォーマンスを評価するうえで、これまで以上に重要な要素となりつつあるとしている。

BGF Circular Economyの組入銘柄は、包装、電子機器、ソフトウエア、資源回収など、サーキュラーエコノミーに関するさまざまな分野および規模の企業となっている。上位はボール・コーポレーション(米・包装)やコーニンクレッカ・フィリップス(蘭・電気機器)、オーウェンスコーニング(米・建築材料)、マイクロソフト(米・ソフトウエア)、メルカドリブレ(アルゼンチン・EC)で、ナイキ(米・服飾)なども名を連ねる。

ブラックロックのサーキュラーエコノミー戦略

なお、同社のサーキュラーエコノミー戦略では、「採用者・イネーブラー・受益者」の3つのカテゴリーに注目している。

採用者

収益がプラスになる方法でビジネスに循環性を採用している企業。アディダス(独・服飾)やユニリーバ(蘭、英・家庭用品)、Natura(ブラジル・化粧品)など

イネーブラー

非効率な原材料使用を解決することを直接目的としたソリューションを提供する企業。トムラ(ノルウェー・資源回収)、ジョンソン・マッセイ(英・化学)など

受益者

リサイクルできない原材料の代替を供給する企業。ボール・コーポレーションやストラ・エンソ(フィンランド・製紙、包装)など

ブラックロックは同ファンドを構成する企業選定にあたり、ESGを考慮して内部調査と外部市場の洞察を行い、全体にわたって継続的なレビューを行っている。

このほかの動向として、欧州の大手銀行と金融機関および欧州投資銀行とのパートナーシップ「The Joint Initiative on Circular Economy(JICE)」は2019年10月、2023年までに少なくとも100億ユーロをサーキュラーエコノミーに投資することを発表しており、投資の観点からもサーキュラーエコノミーが重要視され始めている。

【参照サイト】BGF Circular Economy
【参照サイト】サステナブル投資
【参照サイト】Financing the circular economy
【参照サイト】The Joint Initiative on Circular Economy