オランダ・ロッテルダムに拠点を置くサーキュラーエコノミーのインキュベーションセンターBlueCity(ブルーシティ)は11月27日、循環型研究施設「BlueCity Lab(ブルーシティラボ)」をオープンした。ブルーシティは、温水プールを改修して2015年にサーキュラーエコノミーの起業家・資源・知識・ネットワークの拠点として生まれ変わった施設だ。バイオサーキュラーデザインとバイオベーステクノロジーを通じて環境・社会・経済に好影響をもたらすことを目的とする同ラボで、バイオテクノロジー専門家やデザイナー、および革新的な企業などが未来の材料や製品を実験できる。

蘭DOEN財団や蘭ラボバンク・ロッテルダム支店、ロッテルダム市などの支援を受けて、同ラボの所長であるNienke Binnendijk氏と同氏のチームは、菌類のラボ、生化学的軽作業のためのラボなどから構成される2,000m2以上の空間を創出した。3DプリンターやCNCミル、木材加工機械を備えたワークショップもあり、同氏は、「この空間の組み合わせはユニークで活気に満ちています。ラボで開発した材料をワークショップで製品に変換して、試作品の開発と試験ができます」と述べている。また、ロッテルダム応用科学大学と連携して、循環型の実践を通して将来の労働市場に備える場を学生に提供する。

同ラボでは、以下のようなさまざまな先駆者が研究を行う。ビール醸造の廃棄物からつくる堆肥化可能な容器包装材料UnPlasticを開発する、Lori Goff氏。CO2排出量を大幅に削減し、環境に配慮してつくられた、パーティクルボードに代わるSeaWoodを開発しているBlueBlocksのMarjanne Cuypers-Hendrikson氏。培養について研究を行う同ラボの創設者Emma van der Leest氏、そして菌類から得た色素を使って染色するバイオデザイナーのIlse Kremer氏などである。同ラボは、Ilse Kremer氏のイノベーションはファッション業界の染色による環境負荷を大幅に低減する可能性を秘めているとみている。

Marjanne Cuypers-Hendrikson氏(出典:BlueCity)

多くの人が利用できないと考えるリサイクル材料を使用して、ブルーシティラボと食の実験のためのフードハブを創出したことにより、合計112トンのCO2を削減した。これは、同センターからパリまで643往復、または月への飛行1.5回に相当する。加えて、同ラボはソーラーパネルで稼働している。

Binnendijk氏は、「市場は緊急に代替案を必要としています。将来性のある材料を使い、持続可能かつスマートな方法で設計した製品があれば、私たちはすぐに全ての無駄をなくせるでしょう。実験や知識の共有のために利用できる当施設は、無駄のない経済を10年以内に実現するために必要不可欠です」と語っている。

【プレスリリース】First circular built biolab in the world opens in former swimmingpool in Rotterdam, NL
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