環境省は3月、「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律」(食品リサイクル法)に関連する省令の一部改正を公布した。これは2024年12月に行われた中央環境審議会と食料・農業・農村政策審議会の合同会合による検討を経て取りまとめられた報告書に基づき、事業者の取り組み基準を見直す内容である。あわせて、意見募集(パブリックコメント)の結果も公開された。
今回の改正では、食品関連事業者に対しまだ食べられる未利用食品の提供を積極的に行うよう努力義務を新設した。対象はフードバンクや福祉施設など、貧困や災害により食品を十分に入手できない人々への提供活動を想定している。これにより、食品ロス削減と社会的支援の両立を図る構えだ。
また、食品製造・加工業者に対しては、賞味期限の表示方法を年月表示とする等の工夫や、食品特性に応じた期限延長など、廃棄抑制につながる工夫を求める規定が盛り込まれた。流通・販売業者に対しては、納品期限の緩和や早期発注といった、サプライチェーン全体でのフードロス抑制を促す内容が含まれた。
情報開示に関しても改正が加えられた。企業が未利用食品の提供量を把握し、有価証券報告書や統合報告書等に追記することが努力義務として新たに位置づけられた。企業の取組の可視化と投資家等との対話の強化が期待される。
同時に改正された「食品廃棄物等多量発生事業者の定期の報告に関する省令」では、未利用食品の提供活動、賞味期限に関する工夫、納品期限の緩和といった取組の内容を、報告基準に追加する内容となっている。
食品リサイクル法は2000年に制定、2001年に施行された。今回の省令改正は、合同会合及び循環型社会部会による審議とパブリックコメント手続を経て、2024年3月3日に中央環境審議会から環境大臣に答申。2025年3月24日に施行された。
【プレスリリース】食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律関係省令の一部改正の公布及び意見募集(パブリックコメント)の結果について(お知らせ)
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