内閣府の「食品ロス削減推進会議」は12月24日、第10回食品ロス削減推進会議を開催し、「第2次食品ロスの削減の推進に関する基本的な方針案」を発表した。第1次基本方針では、2000年度比で2030年度までに家庭系・事業系食品ロスを50%削減するという目標を掲げていた。食品ロスは、2000年時点の約980万トンから、2022年度時点推計値で約472万トンにまで削減。家庭系はあと20万トンの削減が必要だが、事業系は8年前倒しで当初目標を達成済みであった。
そのため第2次基本方針では、2030年度までに家庭系食品ロスを50%削減という従来の目標は維持する一方、事業系食品ロスは60%削減という新たな目標案が提示された。
新たな施策として、「食の環(わ)プロジェクト」を立ち上げ、食品ロス削減、食品寄附促進、食品アクセス確保を統合的に推進する方針だ。また、「食べ残し持ち帰り促進ガイドライン」に基づく周知活動や、脱炭素に貢献する「デコ活」の推進、地域ごとの取組の横展開も含まれる。さらに、食品ロス削減推進サポーターの育成や、未就学児への食育推進、国際組織との連携強化も掲げられた。
食品関連事業者に向けては、納品期限や賞味期限表示の見直し、大括り表示の普及、災害用備蓄食料の有効活用が求められる。生活者には家庭内の食品管理や適量購入・消費の意識改革が促され、宴会時の「3010運動」(宴会開始後30分、終了前10分は席を立たずに食事を楽しむなど)といった具体的な行動指針も提示された。
政府は今後、ICTやAI技術の活用、食品寄附の制度設計、フードバンク支援の強化を通じて施策を加速させる方針だ。また、食品寄附に関する社会全体のコンセンサス醸成に加え、食品寄附を行った際の税制上の取り扱いや、企業版ふるさと納税などを活用した事例についても発信していく予定だという。
【プレスリリース】第10回食品ロス削減推進会議(2024年12月24日)
【参照記事】第2次食品ロスの削減の推進に関する基本的な方針(案)
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