消費財業界の世界的なネットワークである、コンシューマー・グッズ・フォーラム(CGF)は8月17日、CEO主導で食品ロス問題を解決する実行連合(Coalition of Action on Food Waste)を立ち上げた。世界の小売業者と製造業者14社が結集する同連合は、2030年までに小売と消費の段階で1人当たりの食品ロスを半減することを目標とする。14社はCEOの関与や実行を前提としたコミットメント、地球規模で持続可能な社会への移行を加速させる情熱をもって、世界のサプライチェーンにおける食品ロス削減に貢献する。

食品ロス問題は環境・社会・経済の大きな課題だ。生産された食品の3分の1の量に相当する約13億トンは、毎年食べられることなく廃棄されている。経済的に見れば、9,400億ドルに相当する。また、食品廃棄物は大気中に33億トンの温室効果ガスを排出しており、食品廃棄物量を国としてカウントすると、中国と米国に続く排出量となる。

連合に加盟した初期メンバーの14社は、アホールド・デレーズ(オランダ・小売)、バリラ(伊・パスタ)、ベル(仏・乳製品、チーズ)、ゼネラル・ミルズ(米・食品)、ケロッグ(米・シリアル)、マジド・アル・フッタイム(UAE・小売)、マケイン・フーズ(カナダ・食品)、メルク・アニマル・ヘルス(米・畜産医療)、メトロ・アーゲー(独・小売)、ミグロ・ティジャレット(トルコ・食品)、ネスレ(スイス・食品)、セインズベリーズ(英・小売)、テスコ(英・小売)、ウォルマート(米・小売)である。 連合は、テスコ・グループ最高経営責任者であるデイブ・ルイス氏とマケイン・フーズ社長兼最高経営責任者であるマックス・コウネ氏により、CGFの役員会レベルで後援される。ケロッグのフランシスコ・コルデロ氏とアホールド・デレーズUSAのブリトニ・ファロウ氏が運営委員会の共同議長を務める。

連合に参加するメンバーは、廃棄物を削減するために以下の3つのコミットメントを示し、食品ロスを削減する。

第1に、連合は食品ロスの定量測定と報告の重要性を認識しているため、2021年までにデータを報告する。

第2に、SDGsの目標12.3の実現に向けた連合Champion12.3の支援を受け、10x20x30イニシアチブを拡大する。10x20x30イニシアチブとは、グローバル小売企業10社が、それぞれ20社のサプライヤーとともに、2030年までに主要サプライヤーの食品廃棄物の半減を目指すイニシアチブである。連合メンバーは、サプライヤーやステークホルダーに積極的に関わり、イニシアチブを拡大する。

第3に、メンバーは、ステークホルダーと協力して革新的かつ効果的な食品ロス削減戦略を開発し、食品ロスのおよそ3割を占めるとされる収穫後の生産者およびサプライヤーレベルでの食品ロス削減に取り組む。

同連合の母体であるCGFは、70か国約400社の小売・製造業者が結集するネットワークである。メンバー企業の総売上高は3.5兆ユーロ、従業員数は1,000万人、バリューチェーンを含めれば9,000万人を雇用している。CGFの環境サステナビリティ担当ディレクターであるイグナシオ・ガビラン氏は、「食品ロスは地球規模の深刻な問題で、共同でコミットして行動することでのみ効果的に対処できる。実行連合は、持続可能な食糧戦略を策定することを各社に促し、食品ロス削減に貢献していく」と述べた。