自動車産業全体で循環化を目指す取り組み「サーキュラー・カー・イニシアチブ」(CCI)は、業界における循環性を高め、排気ガスを削減するための、産業および政策立案者のための協調的な行動に焦点を当てたレポートを発表した。自動車の製造と利用の効率を改善すると同時に、原材料の脱炭素化を加速させるための循環に向けた方策を提案している。
CCIは、持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD)と世界経済フォーラムによって設立され、自動車産業がパリ協定の1.5℃目標を達成することを目指している。
CCIは2020年12月、自動車業界を完全に脱炭素化するために必要な政策支援にフォーカスした第1のレポート「自動車の循環性に関する政策研究の議題」を発表した。また、2021年1月に発表された第2のレポート「自動車業界における循環型経済の新しいロードマップ」では、循環性を示す5段階(0=循環性なし、5=ポジティブな影響が大きい)を定義し、よりモビリティを高めつつ、より廃棄を減らすビジネスモデルを評価している。
同じく1月に発表された第3のレポートである「ゼロカーボン車を作る原材料のロードマップ」は、原材料の生産にスポットライトを当てる。電気自動車は利用時の排気ガスを大幅に削減できる一方で、製造プロセスにおけるエネルギーの消費量や炭素排出が多い点に要注意であると強調している。レポートでは、炭素削減モデルを使用すると、車両に関する追加の原材料費をほぼかけることなく自動車産業全体での大幅な削減が可能であるという調査結果を示している。
自動車をベースとした移動は2030年までに世界で約70%成長すると予想されていることを考えると、これらの調査結果は自動車業界に重要な洞察を提供する。産業革命前と比較し1.5℃の上昇以内に抑えるには、2030年までに排気ガスの量を半分にする必要があり、最新のCCIレポートで提案されている推奨事項と共通言語はその実現に向けたガイドラインとなる。
「CCIは、今後数年間のうちに自動車業界の循環性の課題を設定することを目指しています。共にこの取り組みを拡張させ、自動車産業の未来における互換性を備えた重要要素の概念が正しいことを証明したいと考えています」と、WBCSDのモビリティ担当ディレクターであるThomas Deloison氏は述べている。
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