株式会社カヤックはこのほど、幹事企業として参画する研究プロポーザル「リスペクトでつながる『共生アップサイクル社会』共創拠点」が、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)による「共創の場形成支援プログラム(COI-NEXT)」の地位共創分野・本格型プロジェクトとして採択されたと発表した。

同プロポーザルは、代表機関の慶應義塾大学と幹事自治体の鎌倉市、参画大学および参加企業との共創で応募提案した。参画大学は、叡啓大学・関西学院大学・高知大学・国際大学・信州大学・法政大学・北海道大学・ものつくり大学・横浜国立大学。

COI-NEXTの地域共創分野は、地域大学などを中心に地方自治体や企業などと提携して、地域の社会課題解決や地域経済発展のための自立的・持続的な地域産学官共創拠点の形成を目的としている。同プロジェクトは、2021年に開始した「デジタル駆動超資源循環参加型社会共創拠点」育成型プロジェクトから本格型へと昇格したもので、2032年まで実施される予定だ。

SDGs未来都市である鎌倉市は、「ゼロ・ウェイストかまくら」実現を目指し、ごみの減量や資源化の試みを推進してきた。同プロジェクト始動にあたり、「循環者になるまち~社会でまわす、地球にかえす、未来へのこす~」をビジョンに掲げ、産官学連携で循環型社会の実現を目指す。

COI-NEXTは、以下のような取り組みを実施する。

  • 微生物からAI(人工知能)までをつなげ、循環の中から新たな付加価値を創出する「共生アップサイクル」を実践し理論化する
  • 株式会社カヤックが開発した地域デジタル通貨「まちのコイン※」などを連動させ、資源循環への参加を通じて住民に資源循環活動を促し、ウェルビーイングを向上させる社会システムを実装する
  • 10年後の未来を見据えて、慶應義塾大学を主体に、小学生や中学生を対象とした「循環者教育」のためのカリキュラムを提案する

株式会社カヤックは、「まちのコイン」のユーザーデータを活用して、住民の地域社会や資源循環活動への関心度やつながりを可視化し、「リサイクルの見える化」を図っていきたい考えだ。COI-NEXTは、鎌倉市で実現した仕組みを国内外の自治体に展開し、最終的には資源循環都市ネットワークを世界に広げていく構想を掲げている。さまざまな循環の観点から新たな付加価値の創出を目指すCOI-NEXTの展開が注目される。

※ まちのコイン:住民のSDGs活動参加や地域経済の活性化、良好な地域コミュニティ形成を促進するべく、株式会社カヤックが開発したコミュニティ通貨(電子地域通貨)サービス。2019年9月に神奈川県「SDGsつながりポイント事業」で採択されて以来、2023年2月末時点で日本全国の21地域で導入している。エコバックを持参する・ビーチ清掃に参加する・畑の収穫を手伝うなど、「いいこと」をすると、わけあり野菜をわけてもらえる・街の歴史を教えてもらえるなど、さまざまなポイントを獲得できるサービスを提供している。

【プレスリリース】カヤックが幹事企業として参画する産官学共創プロジェクトがJST「共創の場形成支援プログラム(地域共創分野・本格型)」に採択
【プレスリリース】「リスペクトでつながる『共生アップサイクル社会』共創拠点」がJST「共創の場形成支援プログラム(COI-NEXT)」地域共創分野・本格型プロジェクトとして採択-異分野融合による「循環創造学」を目指して始動-
【参照サイト】まちのコイン
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*冒頭の画像の出典:株式会社カヤック