株式会社大丸松坂屋百貨店は5月16日、大丸梅田店、大丸札幌店の2店で発生する廃食用油を、国産SAF(Sustainable Aviation Fuel:持続可能な航空燃料)製造の原料として4月1日に提供を始めたと発表した。同社が参画する、廃食用油の資源循環による脱炭素社会の実現を目指すプロジェクト「Fry to Fly Project」の一環。これまで大丸心斎橋店、大丸芦屋店、松坂屋上野店で廃食用油の提供を行っており、計5店舗となった。

大丸松坂屋は2023年9月6日付で締結した「国産SAF製造に向けた廃食用油の供給に協力する基本合意書」に基づき、Fry to Fly Projectに参画している。SAFとは、廃食用油などを原料とする持続可能な航空燃料のこと。SAFの利用により、原料収集から生産、燃焼までのサイクルの中で、従来の航空燃料と比較しCO2排出量を約80%削減可能だと言われている。

航空機は、自動車などと違い電気や水素などの燃料では代替しにくいことから、CO2排出量削減のためSAF利用が求められている。日本では、国土交通省が2030年時点で国内航空会社による燃料使用量の10%をSAFに置き換える目標を掲げている。

Fry to Fly Projectは、一般家庭や店舗などで発生する廃食用油を国内資源とし、国産SAFで航空機が飛ぶことを目指すプロジェクトだ。設立主旨に賛同する参加企業・自治体・団体が連携しながら、家庭や店舗などから排出される廃食用油の収集を促進。自治体との連携により廃食用油のSAFへの活用に関する教育活動を実施するなど、脱炭素化に向けた資源循環の促進に積極的に参加できる機会の創出に取り組んでいる。

大丸松坂屋では、廃食用油を国産SAF製造の原料として提供することに加え、国産SAFの認知向上や普及のためにイベントなどを通じて、資源循環の重要性についての発信を継続的に行っている。2024年3月2日に松坂屋上野店で開催した「循環生活コトハジメ」では、循環をテーマに家庭から出る廃食用油の回収やプロジェクト紹介の3D VR体験を実施。当日、来場者には家庭から廃食用油を持参してもらった。

今回新たに2店舗が廃食用油の提供を始め、計5店舗からの廃食用油は1年あたり約53,000kg(2023年度実績)と、全店舗の総排出量の約34%を占める見込み。今後も順次対象店舗を拡大する予定だ。

【プレスリリース】大丸松坂屋百貨店が参画する「Fry to Fly Project」にて廃食用油の提供店舗を新たに2店舗拡大
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(※画像の出典:株式会社大丸松坂屋百貨店)