株式会社大丸松坂屋百貨店は、サーキュラープロジェクトの一環としてブランド「reADdress(リアドレス)」を12月1日から立ち上げる。本ブランドは、レンタルが難しくなった衣類やアイテム、グループ会社の株式会社パルコで処分するはずだった「ハンドルバーなどの設備備品」などをアップサイクルし、継続的に開発していく。大丸松坂屋百貨店はファッションサブスクリプションサービス 「アナザーアドレス」を今年9月からリニューアルしており、リアドレスをその集大成と位置付けている。

アナザーアドレスは「Maison Margiela」「MARNI,」「Y’s, beautiful people」「Theory」「ADORE」など、270を超えるデザイナーブランドの中から自由に選んでレンタルできる。百貨店業界初のファッションサブスクサービスとして2021年4月に提供を開始した。“Fashion New Life”を事業パーパスに、「ファッションやアートが持つ人を元気に愉しくする力と社会や環境にとって持続性の高いビジネスモデルへの転換」を図った。

23年3月からメンズにも対応、9月から現代アートの取り扱いを開始するなど事業を拡大。会員数は約5万人、累計レンタル数は15万着を超える。一方で、利用者増によってレンタル品のシミや汚れや傷、破れなど、着用できなくなった衣類も増えてきた。対策を検討する過程で、廃棄を出さないことを前提にしたサーキュラー・エコノミー型のファッション・アートに着目、reADdressの誕生に繋がったという。

商品は、黒染めで知られる株式会社京都紋付や、アナザーアドレスで取引のあるデザイナーとの協業により、黒染めやパッチワーク、再構築を施し、この世に一つしかない商品を創り出す。コンセプトに①ジャパンクラフトシップ②トレーサブル③サーキュラブルの「3つの取り組み宣言」を掲げる。

ジャパンクラフトシップは、日本人特有の妥協なきモノづくりの継承と発展、トレーサブルはアップサイクル品の透明性の維持、サーキュラブルは「責任を持って循環させる」という決意を込めた。

パルコとの協業では、23年2月に閉店した「津田沼PARCO」で役目を終えた館内の設備備品やポスターボード、店頭のロゴサインなどをアップサイクルするプロジェクトの第3弾。アナザーアドレスと共創し、エントランス扉ハンドルバーに新たな価値を施し、廃材アートとして生まれ変わらせるもの。8名の作家によって16作品が完成し、24年1月下旬より使用を開始する。

2月中旬からは、再構築(リメイク)として、破れやキズのある服を、パネル使いやパッチワーク技法で新たに生まれ変わらせるプロジェクトが始動。アナザーアドレスに参画するデザイナーを中心に展開していく予定。

長引く百貨店不況の中、サブスク事業の開始した大丸松坂屋百貨店。サーキュラーなビジネスモデルで新たな需要を喚起できるか。アパレル、流通、そして消費者も注目する。

【プレスリリース】<アナザーアドレス>大丸松坂屋百貨店のファッションサブスク
ファッション・アートの循環型モデル構築を目指してアップサイクルブランド 「reADdress」新展開

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*記事中の画像の出典:株式会社大丸松坂屋百貨店