DIC株式会社と株式会社エフピコは11月6日、DICの四日市工場で色柄付き発泡食品トレーのポリスチレン(PS)をリサイクルする新たな設備の竣工を発表した。本設備を通してPSの着色成分を溶解・分離させ、トレーからトレーへの水平リサイクルに取り組む。色柄付きトレーのリサイクルにより、年間1万トンのリサイクルPSを供給する体制が整う見込みだ。
DICは、食品パッケージや高機能材料を提供するファインケミカルメーカーであり、グローバルに事業展開を行っている。同社は2022年、溶解分離リサイクル技術(Dic法、Deinking chemical process)を開発。従来のリサイクル方法では、色柄付き発泡トレーのリサイクルからは黒色の再生ペレットしか得られず、リサイクル後の用途が限られていた。しかし本技術により、色柄付きトレーを再利用可能な透明PSへと再生し、新たに食品トレーとして再利用できるようになるという。
エフピコは、国内有数の簡易食品容器メーカー。全国11,000カ所(2024年9月)の回収拠点を通じて使用済みトレーを回収しており、DICと連携して色柄付き発泡トレーに関する課題解決に挑んでいる。
今後両者は、マテリアルリサイクルを推進しリサイクル量を増加させるとともに、ケミカルリサイクルの技術開発も進める方針。2026年には新たな設備を稼働させ、完全循環型リサイクルの実現を目指している。
DICは、「DIC Vision 2030」においてサーキュラーエコノミーへの対応をサステナビリティ戦略の一環として掲げており、食品パッケージ業界における循環型社会の実現を目指している。またエフピコは、エコ製品やCO₂排出量削減を進めるとともに、リサイクル活動の強化を図っている。
【プレスリリース】DICとエフピコ、マテリアルリサイクルによる色柄付き発泡食品トレーの水平リサイクルを実現、ポリスチレンの溶解分離リサイクル設備を11月より本格稼働開始
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