スコットランドのサーキュラーエコノミー推進機関、Zero Waste Scotland(ゼロウェイストスコットランド)は2月18日、同国内における使い捨てゼロを目指し、新たに100万ポンド(約1.3億円)規模のプロジェクト(The Ditching Disposable project)を実施すると公表した。

今後、Zero Waste Scotlandはスコットランド政府と欧州地域開発基金の支援のもと、12ヶ月間にわたって合計14のプロジェクトを実施する。グラスゴーやエジンバラなどスコットランド各地の団体と協働し、コーヒーカップからウォーターボトル、食品包装に至るまで様々な使い捨て品をリユーザブルやパッケージ・フリーといった商品に切り替えていくことを目的としている。

その一環として、スコットランドのいくつかの都市では、リユーザブルカップのデポジット制と使い捨てカップへの課金が導入される。デポジット制は、ドリンク購入時に少額のデポジットを支払い、リユーザブルカップの返却時に返金を受けるシステムだ。カップは洗浄して繰り返し使うことができる。

この試みはキルマーノックにあるクロスハウス大学病院の食堂で試験導入されており、トライアルの結果リユーザブルカップの利用率は1%から半分近くまで上昇、同時に使い捨てカップの使用率も1日あたり157個削減することができた。これは年間に換算すると、約5.7万個の削減となる規模だ。

リユーザブルカップのデポジット制と使い捨てカップの課金の組み合わせは世界初の試みと見られるが、スコットランド政府の環境専門委員会(Expert Panel on Environmental Charging and Other Measures)も、この仕組みは使い捨て削減のための重要なアプローチだと強調する。今後は個人経営のコーヒーショップでも導入し、参加店舗であればどこでもカップの返却可能にすることで、各地においても同様の結果を出せるようにしていくことが目標だ。

この試みに限らず、使い捨てボトルから冷水器などへの置き換えやリユーザブルイベントキットのシェアリングなど、他にも使い捨てゼロに向けたプロジェクトは進行中だ。

Zero Waste Scotland最高責任者のLain Gulland氏は、「使い捨て商品はスコットランド社会を傷つけるものであり、取り組みの決意を固くしている。その一部はほんの数分しか使われない一方で、数年に亘って私たちの周辺で漂っていることもある。地域コミュニティーと連携し、彼らが認識した問題を解決するためには何ができるのか考えていきたい。」と語る。

サーキュラーエコノミーへの移行に向けて国家レベルで取り組みを進めているスコットランド。今回の新たなプロジェクトによりどのような成果が生まれれるのか、今後の展開の期待したい。

【参照リリース】Global first is part of £1m plan to ditch disposables in Scottish communities
【参照サイト】Zero Waste Scotland