大日本印刷株式会社(以下、DNP)は、ICカードの材料をリサイクルしたプラスチック材使用のICカードを4月より製造する。プラスチックのリサイクルやCO2排出量削減を推進することで、環境負荷低減につなげ、循環型社会の実現を目指す意向だ。

同ICカードは、株式会社丸井グループがみんな電力株式会社と提携して発行している「みんな電力 エポスカード」で採用された。DNPは2018年頃から丸井グループと共に環境に配慮したICクレジットカードについて検討を進めており、今回、日本初(DNP調べ)となるリサイクルPVC(ポリ塩化ビニル)を使用した非接触対応のICクレジットカードを提供する。

DNPは、リサイクルプラスチック材を使用した「みんな電力 エポスカード」の特長を以下のように公表した。

1.ICカード製造用のプラスチックをリサイクル材に切り替え

欧州のカード用リサイクルPVCを提供するサプライヤーと連携し、欧州の容器包装工場から排出されるプラスチックの一つであるPVCの廃材・中間材を回収し、リサイクル材使用率99%に加工したシートを使用してカードを製造する。リサイクルPVCをICカードの中核部分に使用することで、リサイクル素材使用率約70%(重量比)の非接触ICクレジットカードを実現した。

2.カード1枚あたりCO2排出量を9.8g削減

リサイクルPVCを使って製造することで、カード1枚あたりCO2排出量を約9.8g削減する。「みんな電力 エポスカード」1,000枚で、CO2排出量を約10Kg削減する。

同製品は、リサイクルPVCを利用しない従来のカードと比較して、5%程度の価格上昇をめどに提供される予定だ。なお、価格は仕様や数量によって異なり、内容に応じて別途見積るとしている。

リサイクルプラスチック材を使用したICカードの製造に至った背景について、DNPは次のように発表した。日本政府は、プラスチックの使用量削減やリサイクル推進を促進するべく、2019年5月に「プラスチック資源循環戦略」を策定した。2020年12月には、経済産業省が「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を発表するなど、脱炭素社会の実現に向けた取り組みも加速させているとDNPはみている。こうしたなか、DNPは2020年3月に「DNPグループ環境ビジョン2050」を策定し、2050年の温室効果ガス実質ゼロや資源の効率的な循環利用を掲げ、「脱炭素社会」「循環型社会」「自然共生社会」の実現に向けた取り組みを進めているとしている。国内でのICカード製造シェアはDNPが第1位となっており、今回ICカード製造用のプラスチックをリサイクル材に切り替えることで環境負荷低減を目指すことを公表した。

2021年7月をめどに、DNPはリサイクル素材を使用したICカードの量産体制を構築する考えだ。「脱炭素社会」「循環型社会」などの実現に取り組む金融機関のほか、ICカードや電子マネーカードを発行する事業者、ポイントカードや会員証などを提供する小売・流通企業などへ提供し、2025年度までに関連サービスも含めて約40億円の売上を目指すとしている。

【プレスリリース】リサイクルプラスチック材を使用したICカードを製造
*冒頭の画像は、リサイクルプラスチック材を使用した「みんな電力 エポスカード」(出典:大日本印刷株式会社)