米化学大手ダウは6月17日、2050年に向けた新たなサステナビリティ目標を発表した。この目標は同社の2025年サステナビリティ目標に基づいており、具体的には、気候変動対策、プラスチックごみの根絶、サーキュラーエコノミーへの移行を掲げる。これらを通じて、「廃棄物ゼロ」と「ループを閉じる」ことを実現する。
気候変動対策に関しては、2030 年までに年間二酸化炭素排出量を2020年の基準年比で正味 500万トンを削減(15%減)し、2050 年までにカーボンニュートラル(スコープ1・2・3と製品利用時の環境インパクトを含む)を達成することを目標とする。そのため、より少ない資源で製品を製造し、製造工程における副産物も資源として利用する技術を導入し発展させていく。これに関連して、同日にソーラーパネル製造のファーストソーラー社との電力売買契約も発表された。
プラスチック廃棄物の根絶に関しては、廃棄物を資源として捉え、2030 年までに100 万トンのプラスチックの回収・再使用・リサイクルを実現するとし、プラスチックのリサイクル技術とインフラ構築への投資を続ける。これに加え、再生プラスチックの価値を高め、設計段階での支援を通じて、顧客の製品への使用を促す方針だ。また、2035年までに包装用途における全製品を再利用可能またはリサイクル可能にすることを目標に掲げる。
同社は、サーキュラーエコノミーに移行することは自社の成功に不可欠だと捉え、製造・使用・廃棄までのライフサイクルを考慮に入れ、さまざまな取り組みを行っている。例えば、昨年9月にはUPMバイオ燃料と提携し、再生可能な生物由来の原料から作られた包装業界向けのプラスチック製品の商品化を発表した。また、使用済みマットレスのポリウレタンフォームをポリオールにしてリサイクルする、「RENUVA™マットレスリサイクルプログラム」という取り組みも行っている。
さらに、2019年のサステナビリティ報告書には、2006年比で温室効果ガスの15%削減を実現し、カーボンプライシング(炭素の価格付け)を事業計画に組み込んできたと記載。化学産業で最もクリーンエネルギーを使用しているとしている。
今回の新たなサステナビリティの目標は、「ダウのマテリアルサイエンスの専門知識とパートナーとの協力によって、持続可能な未来を世界に届ける」というダウのミッションが土台となっている。今後数十年の同社の取り組みに大いに期待したい。
【参照サイト】Accelerating our sustainability commitments
【参考サイト】The RENUVA™ Program
【サステナビリティ報告書2019】2019 Sustainability Report