伊大手電力会社エネルはこのほど、循環型都市に関する研究を発表した。『循環型都市–明日の都市』というタイトルの同研究において、同社は循環型都市へのアプローチが環境の持続可能性・社会的包摂・経済競争力にどのように寄与するかについての考察を行った。

エネルは電動モビリティ・蓄電・再生可能エネルギー・エネルギー効率・スマートグリッド・公共施設用照明・建物管理などの分野において、現在世界で進められている数々の循環型都市プロジェクトを推進している。ヨーロッパ・南北アメリカ・アジア・アフリカ・オセアニアで事業を展開しており、循環型都市への移行に関連するすべての利害関係者とともに、明確な目標に基づいて循環型経済へのアプローチを推進している。

同研究は持続可能な建築の先進的企業である英・建築会社アラップ社とサーキュラーエコノミー投資のパイオニアである伊・銀行インテーザ・サンパオロ、サーキュラーエコノミーと食をテーマに研究を続ける伊・非政府組織(NGO)のFuture Food Instituteの協力を得て行われた。

現在、都市には世界人口の半分以上が住んでおり、経済生産の80%以上が都市で生み出されている。近年、都市化が急速に加速している一方で、都市は世界的に取り組むべき課題が多い場所でもある。そこでエネルは、より良い生活の質という観点から明日の都市を循環型経済アプローチのもとに再考することは、この課題解決に大きく貢献するとみている。その理由は以下のとおりだ。

  • 環境:エレン・マッカーサー財団は2019年、循環型経済は2050年までに世界の脱炭素化に最大45%貢献できると報告した。
  • 社会性:循環型経済は自動化によって置き換えることが難しい、新しいスキルと専門知識が必要な仕事を生み出すことが期待されている。2020年のEnel and the European House – Ambrosettiの最新レポートでは、循環型経済に関連して2018年に欧州で250万人の雇用が創出されたことが報告された。
  • 経済性:再生可能エネルギーの使用によって、市民はより競争力のあるサービスを享受でき、企業はより低いコストを確保できる。

エネルは同研究のプレスリリースの最後に、「循環型都市アプローチは、より包括的なビジョンとオープンガバナンスと循環型経済の原則のもとでテクノロジーの重要な役割を維持することで、環境の持続可能性や経済競争力、社会性を実現する。官民のパートナーシップは、この取り組みをを行ううえで重要な役割を果たす」と記している。

【プレスリリース】Enel publishes study “Circular cities – Cities of tomorrow”
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