環境省は6月7日、2024年版の「環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書」を公表した。2024年5月に閣議決定された第六次環境基本計画の内容を中心に、環境の近況、施策などを概説している。

環境白書、循環型社会白書、生物多様性白書の3つの白書はそれぞれ国会へ提出する年次報告書。環境問題の全体像を分かりやすく示すため、3つの白書を1つの白書としてまとめている。

第六次環境基本計画は、環境保全を通じた「現在及び将来の国民一人一人のウェルビーイング/高い生活の質の向上」を最上位の目的に、政府全体の環境保全に関する総合的かつ長期的な施策の大綱を定めている。気候変動、生物多様性の損失、汚染という3つの危機を挙げ、文明・経済社会システムの変革と、環境収容力を守り環境の質の向上を図ることで、経済社会が発展できる循環共生型社会を実現していくことの重要性を指摘。

同白書は4章で構成されている。第1章では、同計画について、現在直面する環境の危機、日本の経済社会の構造的問題を踏まえ、環境・経済・社会の統合的向上など環境政策が全体として目指すべき大きなビジョンを示すとともに、今後の施策の方向性を紹介する。

第2章では、気候変動、生物多様性の損失、汚染という相互に関係する3つの世界的危機に対し、最新の動向や施策を紹介するとともに、課題の相互依存性を認識して自然再興・炭素中立・循環経済等政策の統合、シナジーを図ることが重要だと提唱する。

第3章は、自然再興・炭素中立・循環経済の同時達成のためには、環境をきっかけに、地域と人々の暮らしを豊かさやウェルビーイングへとつなげていくことが重要として、「地域循環共生圏」やライフスタイルシフトといった取り組みを紹介。

第4章では、東日本大震災や原発事故の被災地における環境再生事業の進捗、復興の新たなステージに向けた未来志向の取り組みを掲載している。

同白書の印刷工程の電力使用により発生した二酸化炭素は、環境省の「オフセット・クレジット制度(J-VER制度)」に基づき発行された東日本大震災における被災地のクレジットを購入することで、オフセットされている。

【プレスリリース】令和6年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書の公表について
【参照記事】環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書
【関連記事】環境省を含む4省、「ネイチャーポジティブ経済移行戦略」を公表
【関連記事】環境省、使用済製品などのリユースと使用済衣類回収のシステム構築に関するモデル実証事業の公募を開始
【関連記事】環境省、国内資源循環体制構築に向けた再エネ関連製品と素材の最適化実証事業の公募結果を発表