環境省はこのほど、「令和5年度国内資源循環体制構築に向けた再エネ関連製品及びベース素材の全体最適化実証事業」の公募結果を発表した。

同事業は、省CO2型のリサイクル技術向上と、デジタルを用いたトレーサビリティ確保によるリサイクル原料の品質向上を図り、未利用資源の活用体制構築を促進する実証を行うため、2023年4月7日(金)から5月8日(月)までの間に対象事業の公募が行われ、下記2件が選定された。

  1. 東北電力株式会社

申請事業名:太陽光パネルの長期使用・資源循環の促進及び有害物質管理を目的としたデジタル・プロダクト・パスポートの運用効果の検証実証事業

事業の概要:PVパネルの長期使用、適切なリユース・リサイクルを促進するために、長期使用に資する情報、リサイクルや廃棄に必要な有害物質の情報を蓄積し、ステークホルダーがその情報へアクセス可能な仕組みを構築する。また、長期使用やリユースの意思決定を後押するための、PV パネルの残存使用可能年数の評価手法を確立する

  1. 東レ株式会社

申請事業名:膜技術による廃リチウム蓄電池からの省 CO2 型リチウム回収技術実証事業

事業の概要:高選択的な耐酸性のナノ濾過膜のスケールアップ化、膜プロセスの開発実証、LCA定量化を行い、パイロットスケールで低環境負荷、省CO2型高純度リチウム回収プロセスの実証を目指す

太陽光パネルや車載用バッテリー等の再エネ関連製品では今後大量廃棄が見込まれる。ガラス等のベース素材では、忌避物質の混入や品質確保の観点から天然資源からの素材代替が十分に進んでおらず、これらの製品及び素材に対して省CO2型の国内リサイクル体制の整備が必要である。

自動化製品やIoT機器、電動化製品の需要は依然として増加しており、これに伴い、センサーや電子基板類、バッテリーといった製品・部品の廃棄量についても増加することが見込まれる。これらの製品・部品には、非鉄金属・レアメタルが含有されていることから、適切にリユース、リサイクルすることによって、天然資源の節約、資源の海外依存度の低下、省CO2化等の環境負荷低減が期待できると環境省はコメントしている。

【プレスリリース】「令和5年度国内資源循環体制構築に向けた再エネ関連製品及びベース素材の全体最適化実証事業(実証委託)」の公募結果について
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