岸田文雄首相は10月11日、2024年夏に「循環型社会形成推進基本計画」を見直すと発表した。同計画のなかで、地方創生の観点も踏まえたサーキュラーエコノミー政策を中長期的に重要な柱として位置付ける。

首相は同日、総理大臣官邸でサーキュラーエコノミーに関する車座対話を開催。西村康稔経済産業相と伊藤信太郎環境相のほか、サーキュラーエコノミー移行に取り組む地方公共団体・一般社団法人・企業の代表者らが出席し、意見交換した。

このなかで、岸田首相は「高い技術力で資源循環を図るという意味で、サーキュラーエコノミーは日本の得意分野であり、地方活性化においてもサーキュラーエコノミーの視点が大切だ」との見解を述べた。産官学の取り組みをできるところから実行していくことが必要であるとし、10月を目途に取りまとめを進めている経済対策にもサーキュラーエコノミー移行に向けた産官学の施策を盛り込むと語った。

産官学のパートナーシップの活性化にも言及した。2023年9月、経済産業省は自治体・大学・企業・業界団体などを対象に、サーキュラーエコノミーに関する産官学のパートナーシップに参画する会員の募集を開始した。同パートナーシップは、ビジョンおよびロードマップを策定するとともに、サーキュラーエコノミー情報流通プラットフォーム構築やその他の課題などを検討していく予定だ。

西村経済産業相は、サーキュラーエコノミー移行には技術開発の推進も重要であるとみており、移行に向けた法改正も視野に入れていくと語った。伊藤環境相は、所有からシェアリングへの移行など、価値観と行動の変容をもとに包摂的な社会の構築がサーキュラーエコノミー移行において重要であるとの考えを示した。

循環型社会形成推進基本計画の見直しは、約5年ごとに実施されている。2018年、第四次循環型社会形成推進基本計画が閣議決定され、環境省は2022年9月に報告書「第四次循環型社会形成推進基本計画の第2回点検結果(循環経済工程表)」を策定。2023年8月、点検結果をもとに新たな循環型社会形成推進基本計画の策定に向けた指針案を公表した。

【参照サイト】サーキュラーエコノミーに関する車座対話
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*冒頭の画像の出典:首相官邸公式サイト