トヨタ自動車株式会社は現在、電池3R(Reduce、Rebuilt・Reuse、Recycle)とサーキュラーエコノミー移行の推進に向け、さまざまな活動を進めている。

電気自動車(EV)用電池について、省資源化できる電池や長寿命電池の開発に注力。資源を有効利用するべく、リビルト・リユースしてCO2排出量の少ない方法でリサイクルする「電池3R」の考えのもと、取り組みを展開している。

同社は、これらの取り組みの実行に向けて「第7次トヨタ環境取組プラン」を策定し、“電動車の普及を見据え、安全で効率的な電池3Rの仕組みを2025年までに構築すること”を目標に掲げた。「グローバルで最大限の電池回収・無害化」「日本・米国・欧州・中国・アジアの5地域で電池3Rの運用を開始」の2つの取り組みを展開している。

特に、北米において資源循環促進の取り組みを強化しており、2022年にEV電池リサイクルの米レッドウッド・マテリアルズと協業し、ハイブリッド車とEVの使用済み電池を回収・リサイクルする取り組みを開始した。今後、電池3Rにおいてパートナーと連携して世界的に取り組みを加速し、電動車普及に向けた社会基盤整備に貢献したい考えだ。

電池3Rの主な取り組みは、以下のとおり。

  • ①リデュース:電池の革新に向け、液系リチウムイオン電池のエネルギー密度の向上・バイポーラ構造のBEVへの採用・良品廉価な普及版電池・パフォーマンス性を追求した電池など、ラインアップ拡充を図っている。BEVの電池関連性能の改善に向け、低外気温下における充電時間の短縮・実航続距離の延伸など、電動車の実用性向上を図っている
  • ②リビルト・リユース:電動車用電池を活用した大容量スイープ蓄電システムの構築、定置用蓄電池システムの開発・実証に取り組んでいる
  • ②リビルト・リユース、③リサイクル:ハイブリッド電池の取り組みとして、ハイブリッド車から取り外した使用済みニッケル水素電池を検査、再組立て(リビルト)し、2013年より定置用の畜電池として、2014年より車両用の補給電池として再利用している

米国は、クリーンエネルギーと持続可能性の目標達成・サプライチェーンの強靭化・電池部品のアジアへの依存低減を目指している。電池のサーキュラーエコノミー移行に向けた取り組みは世界で加速しており、EUではEU電池規則が2023年8月に発効。EU市場に投入される電池のライフサイクル全体を規制し、電池の安全性・持続可能性・競争力の確保とサーキュラーエコノミー移行推進を目指している。

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*冒頭の画像は、電池3Rのイメージ(記事中の画像の出典:トヨタ自動車株式会社)