IBMとAlliance to End Plastic Waste(廃棄プラスチックを無くす国際アライアンス)は12月15日、IBMが同アライアンスに支援企業として参加することを発表した。

2019年に設立されたAlliance to End Plastic Wasteは、世界各国のプラスチックバリューチェーンに携わるさまざまな業界の主要企業が参加する非営利団体で、循環型経済実現に向けた解決策の提案や投資を行っている。IBMは同アライアンスと共同で、IBM Cloudにおいて新しいデータプラットフォームを設計・構築し、プラスチック廃棄物と回収を世界的に追跡することを目標とする。

同アライアンスがPRISM(Plastics Recovery Insight and Steering Model)と呼ぶこのプラットフォームは、実用的なデータの情報源として機能することを目的としており、NGOとバリューチェーン参加者、コミュニティと監督機関およびその他の組織が廃棄物管理の意思決定とプログラムを改善する方法に関する情報提供を行う。PRISMは、利害関係者が既存の安全性を損なうことなく、さまざまなデータセットを集めて統合・規模拡大し、データを通じて廃プラスチックの課題に協力して対処できるように設計される。重点分野には、プラスチック廃棄物の発生と環境中への流出、地元での廃棄物管理とリサイクルソリューション、ツール拡張に伴う追加のデータセットなど、プラスチックの消費と回収が含まれる。PRISMは、技術と設計、およびビジネス戦略を組み合わせて迅速にイノベーションと実績を上げられるフレームワークであるIBM Garageの支援を受けて開発が始められた。

IBMは、顧客がより持続可能に運営する計画を支援するという同社の長年の経験に基づいて、同アライアンスとの協働を開始した。同社は1971年に環境方針を発表して環境への取り組みを始め、顧客は環境目標達成を推進する過程で、クラウドやAI、ブロックチェーンなどの同社の技術を使用している。さらに2019年には、重量ベースで使用済み製品の95%以上を再利用や再販、もしくはリサイクルしていると発表した(※)。

Alliance to End Plastic Wasteプロジェクト担当責任者であるニック・コレッシュ氏は、「プラスチック廃棄物の課題に取り組むうえで私たちが直面する非常に大きな障害は、検証可能で柔軟性があり実用的な方法で、多数のデータをどのようにまとめるかということです。IBM Cloudは、利害関係者とバリューチェーンにデータを安全に提供する柔軟性と、移行・ホスティング・ユーザーアクセスへの簡単な方法を提供します」と述べている。

IBMのエネルギー・資源・製造部門のグローバル産業マネージングディレクターであるマニッシュ・チャウラ氏は、「容器包装から医療用まで幅広く使用されるプラスチックは、世界経済において重要な役割を果たしています。クラウドとAIを利用することで、安全で柔軟性のある環境に貴重で異種のデータをまとめられます。この環境において、アライアンスメンバーから政府や監督機関まで、誰もが協力してこの世界的な課題に取り組めます」と語っている。

※:2019 IBM and the Environment Reportより

【プレスリリース】IBM and The Alliance to End Plastic Waste to Create Data Platform to help track global plastic waste in the environment
【参照レポート】2019 IBM and the Environment Report
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