環境省は5日、令和8年版「環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書」を公表した。今年の白書は「循環経済(サーキュラーエコノミー)で日本列島を強く豊かに」をテーマに掲げ、循環経済を国家戦略として位置付け、再生資源供給網の強化や国際資源循環ネットワークの構築などの取り組みを紹介している。

昨年の令和7年版白書がGXやESG投資、環境情報開示などを通じた「グリーンな経済システム」の構築に焦点を当てたのに対し、今年は資源循環と経済安全保障、産業競争力との関係に関する記述が目立つ内容となった。

背景には、世界的な資源獲得競争の激化がある。白書は、天然資源への依存を低減し、再生資源を質・量・コストの面で安定的に確保することが、環境保全に加え、経済安全保障や産業競争力の確保にも不可欠だとしている。

こうした状況を踏まえ、政府は2026年4月に「循環経済行動計画」を策定した。同計画では、再生資源供給網の強化や資源循環の高度化、国際的な資源循環ネットワークの構築などを推進するとしている。

白書では、循環経済を巡る世界と日本の現状についても詳しく取り上げている。世界では天然資源だけでなく再生資源を巡る競争が激化していると指摘。中国による重要鉱物の輸出管理強化やEUの資源循環政策の動向を紹介し、「一次資源(天然資源)のみならず、二次資源(再生資源)の獲得競争の時代に突入した」と分析している。

また、日本では年間約770万トンの鉄スクラップが輸出され、再生利用されるプラスチックも国内利用量の約3倍が海外に流出していると説明。国内で資源を循環させる基盤の強化が課題だとしている。

また、政府は金属やプラスチックの再資源化拠点の構築などに官民で約1兆円の投資を目指している。白書は、循環経済を新たな成長につながる取り組みと位置付け、産業競争力の強化や経済安全保障の確保につなげる必要性を強調した。

一方で、循環経済は脱炭素や自然環境の保全・再生を支える基盤でもあると指摘。循環経済、炭素中立、自然再興を連携して進めることで、持続可能な社会の実現を目指すとしている。

環境省は、循環経済への移行を通じて再生資源の安定確保や地域の持続性、産業競争力の向上を図りながら、強く豊かな日本列島の実現を目指すとしている。今回の白書は、循環経済を環境保全だけでなく、経済安全保障や産業競争力の確保にもつながる取り組みとして位置付けている。

【プレスリリース】令和8年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書の公表について
【参照記事】令和8年版 環境・循環型社会・生物多様性白書(PDF版)
【参照記事】令和7年版 環境・循環型社会・生物多様性白書(PDF版)
【関連記事】環境省、「令和7年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書」公表。テーマは「グリーンな経済システムの構築」
【関連記事】政府、再生資源の供給体制強化に官民1兆円。重要鉱物などリサイクル目標を設定。循環経済行動計画