株式会社JEMSはこのほど、ブロックチェーンを活用した循環型サプライチェーンを実現するためのトレーサビリティシステム「Circular Navi(仮称)」を発表した。販売開始は2022年1月頃を予定しており、共創パートナーとなる企業を募集している。
Circular Naviは素材の由来を追跡管理するためのプラットフォームで、再生素材を利用した製品(以下、リサイクル品)を製造・販売するすべての企業向けに同社が開発した。同プラットフォームは、自社で仕入れた再生素材が廃棄後にリサイクルされる過程の情報を正確に簡単に管理できるとしている。Circular Naviの特長について、同社は以下を発表した。
- 静脈サプライチェーンの見える化を実現:リサイクル品の流通工程にブロックチェーンを活用。静脈トレーサビリティ・プラットフォームの構築により、製品のサプライチェーンの透明性やアカウンタビリティ(説明責任)を達成できる。企業から排出された廃棄物・有価物のリサイクル過程を特定する「トレースフォワード」、仕入れた再生素材から排出元を特定する「トレースバック」機能を標準装備。各工程で発生するCO2排出量を算出し、「迅速なトレース」と「サプライチェーンにおけるCO2の見える化」を可能にする
- 自動認識技術とサービス連携による正確なデータ登録:自動認識技術(QRコード、ICタグ、画像による識別技術)を利用し、リサイクル品が出荷される時点で誰でも簡単に確実に作業できる。デジタルツインにおけるサービス連携や各工場で管理しているオンラインシステムから連携でき、拠点の環境に応じて業務設計できる
- すべての企業・業界で利用可能:コンセプトは、「すべての企業・業界で利用可能なシステム」である。多様な業界の商習慣に合わせたシステムを構築・カスタマイズでき、コスト削減や運用開始までの期間を短縮できる
さまざまな業界の大手企業を中心に650社の廃棄物管理を支援してきた同社は、事業分野への拡大も視野に入れて開発を進めていくとともに、脱炭素化に寄与していく意向だ。
現在、サーキュラーエコノミーを推進するためにトレーサビリティの確保に向けた取り組みが世界中で進められている。株式会社JEMSが販売を開始する同システムは、誰でも簡単に確実に作業できることと、すべての企業・業界で利用できることが大きな特長だろう。同システムの展開とトレーサビリティ確保に向けた今後の動向が注目される。
【プレスリリース】製造業におけるサーキュラー・エコノミーへの移行を支援するトレーサビリティシステム「Circular Navi(仮称)」をリリース
【関連記事】三井化学・日本IBM・野村総合研究所、コンソーシアム設立を合意。プラ産業のDXへの貢献を目指す
【関連記事】【GreenBiz連載】DXがサーキュラーエコノミーへの移行を可能にする
【関連記事】丸紅、蘭サーキュライズ社と業務提携。サーキュラーエコノミー実現に向けたプラットフォームをアジア展開へ
*冒頭の画像の出典:株式会社JEMS